38号機稼働開始(25号機更改リプレース)

先日(と言いつつ結構経ちますが)、24号機に続き、25号機の後継として38号機の稼働を開始しました。購入後約11年弱、運用自体は2016年からですが、トラブルはありつつも8年近い運用にピリオドを打ちました。

38号機の主な構成

Silverstone SST-ML10のケースにASRock N100DC-ITXを組み込んだものです。メモリはCFD Crucial DDR4-3200の32GBx1です。これにMeanwellのGST90A19-P1Mという19V 90WのACアダプタで電力供給しています。

先日稼働した37号機とはSSDとOSを除き全く同じ構成です。というか、37号機と38号機でハードウェア的に違うのはSSDだけです。それ以外はブザーやSATAケーブル、後から付けた縦置用のゴム脚に至るまで同一構成です。

置き換え元となる25号機(と24号機と34号機)はすべてゼロスピンドル機で、静粛性と耐衝撃性の向上、並びに通常運用中のメンテナスフリー化を志向したマシンです。38号機もこの志向を引き継ぎいでゼロスピンドル機としました。Twitterでは120mmファンを搭載しようかと呟いていたのはこの38号機のことなんですが、メンテナンスフリー化は捨てがたいのでゼロスピンドルで組みました。

ケース・電源

ケースは前述の通りSilverstone SST-ML10です。前述の通り37号機と全く同じです。シリアル番号までほぼ同じで、最後の桁以外は全く同じです。37号機と同じ構成ですが、37号機側が流用で38号機側オリジナルです。

プラットフォームはMini-ITXを採用し、電源もボードタイプやpicoPSUいずれでも行けるように配慮した構成にしてあります。これは、故障が頻発してマザーボードの予備をすべて失っても最悪その時に売ってるMini-ITXのマザーボードを使えるようにしてあります。また、2.5インチSSDを2台搭載出来る構成にしてあります。

電源は実家で稼働実績にあったMeanwell社のGST90A19-P1Mです。37号機と同一機種で、37号機同様にDigikeyで買いました。Efficiency Level VI対応です。

カタログスペック上の効率は90%です。Efficiency Level VIが嘘でないなら、90Wクラスの電源であれば少なくとも87%はある筈です。最近流行りのGaNトランジスタを使用しているかは不明です。GaNトランジスタの採用を謳ってる機種と比べると90Wという容量の割に嵩張ります。ただ、表面積が大きい方が放熱、つまり寿命面では有利です。まぁ、とは言え、13W程度の消費電力でも電源が入っていることがわかる程度には発熱します。

GST90A19-P1Mはファンレスですが本体に青色LEDの通電ランプがあり、これがなかなかの光量で光ります。夜中は目に刺さるのでLightDimの減光用のシールを2枚重ねで貼っています。

マザーボード・メモリ

マザーボードはN100DC-ITXです。マザーボードも37号機とは製造番号が一つ違いのものを使用しています。ちなみに製造番号は隣り合ってましたが、MACアドレスは第5 WORDは同一だったものの、第6 WORDは隣り合っていませんでした。

37号機でも買いた通り、マザボはデスクトップ用のDDR4-DIMMを1枚だけしか搭載出来ないので、CFD Crucialの2枚セット品を買ってそのうちの片割れを使っています。もう片割れは37号機で使っています。

SSD

SSDは2台構成なのは37号機と同一ですが、2台とも37号機とは異なるモデルを搭載しています。

38号機のSSDはTranscendのSSD470K (以下、SSD470K)というシリーズの1TBと250GBを採用しました。これは産業用で、書き込み寿命が250GBモデルは591TBW (推定)、1TBモデルでは2,365TBW (推定)ある製品です。(DPDW2.16@3年から計算)。

コンシューマー用のTBWは250GBのSSDで100〜200TBW程度、1TBだと400〜600TBW程度で、DPDW@3年の値は大体0.7前後ぐらいが相場なのでコンシューマ用と比べると2.5倍以上の書き込み耐性があります(2024年現在)。

Transcendの産業用のSATA SSDには他にSSD422Kというのがあり、こちらも検討はしました。比較は下記です。SSD422KはDPDWが2.6とちょっと高いぐらいですが、アクティブ時の消費電力が470Kの約1.5倍、値段が470Kのざっくり2〜2.5倍と色々コストが高いので470Kの方を買うことにしました。ちなみにSSD470Kは112層の3D-NAND構成ですが、SSD422Kは2D-MLC NAND構成みたいです。その所為か定かではありませんがカタログ上のIOPSはSSD422Kの方が低いです。

Transcend SSD470Kの消費電力、TBW
https://jp.transcend-info.com/embedded/product/embedded-ssd-solutions/ssd470k-ssd470k-i (2024.06.09閲覧)
Transcend SSD422の消費電力、TBW
※2D-MLCとTBWの多さが絶対的正義ではないならSSD470Kの方がお買い得。
https://us.transcend-info.com/embedded/product/embedded-ssd-solutions/ssd422k (2024.06.09閲覧)

SSD470KもSSD422Kも産業用ですが、普通にAmazon上でAmazon販売で売ってるので買えます。ただ、レビュー見るとサポートソフトウェアとかを手に入れるには大口クライアントにならないとダメみたいなことが書かれています。

SSD470Kのアイドル消費電力1.35Wは、昨今のSSDとしては大食いです。昨今のコンシューマー用SSDのアイドル時の消費電力は数百mW、製品によっては100mWを切ってます。そんな中470Kはカタログで1.3Wあり、実機でもPD+20VトリガーケーブルをAVHzYのCT-3経由で見た感じ、だいたいカタログ値通りの電力を消費しています。

正直なところ、このSSD470Kは過剰スペックだと思ってます。欲しかったのはSamsung 860 ProぐらいのスペックのTBW(250GBで300TB前後)なので、250GBで600TBWに迫るTBWは明らかに過剰です。

ただ、860/870系統のSamsungのPro版SATA SSDは検討時には既にディスコンのようで、Amazonでの価格が異様に高く(50K超)、2台で10年間都合1.3W×2=2.6W分の電気代を垂れ流してもまだSSD470Kの方が安いのでSSD470Kにしました。購入費用は2台で約35k円でした。

ちなみに、先代の25号機のSSDは2台で8万円近くしました(※)。そのため2013年の導入当初は更改時も使い回す気満々でした。ただ、25号機に更改するとき、UEFI+GPTにしたつもりが後からBIOS+GPTでOSが入ってたらしいことに気づいたのと、25号機で採用したSSDであるCFD HG6dもIntel 335もTBWが不明(非開示)で残余寿命がわからないので続投しないことにしました。

容量は25号機の頃は512GB+240GBでしたが、38号機では13号機と構成を合わせる形で1TB+250GBにしました。

OS

OSは、先先代(15号機)、先代(25号機)に続きOSはFreeBSD(amd64)です。今回の更改はこのFreeBSDのインストール・運用がなかなか安定せず難航しました。

Intel N100はEコアだけ積まれてる12世代プロセッサですが、どうもFreeBSD14はEコアしか無いのは想定外なのか、デフォルトで起動するとファイルシステム(UFS)操作でクラッシュします。mysql80-serverを/var/db/mysqlを削除してクリーンスタートすると割と簡単に再現します。

なかなか原因と対策が突き止められなくて、IOが怪しいところまではわかったんですがそこからCPU不良を疑ってマザボ変えてみたり、SSD変えてみたり、M.2 PCIeをSATAに変換する基板入れてみたりしても再現してました。

クラッシュする瞬間をiPhoneでスロー撮影したりして色々調べていたら、FreeBSDのMLで/boot/loader.confに「vm.pmap.pcid_enabled=0」を入れると直るかも的な記事をここ(https://www.mail-archive.com/users-jp@freebsd.org/msg00203.html)で見つけました。それで実際に/boot/loader.confに「vm.pmap.pcid_enabled=0」を入れたら嘘のように安定したので、やっと移行作業が出来るようになりました。

このN100DC-ITXはNICにRealtek RTL8111Eが搭載されています。FreeBSD標準添付のドライバがクソなのかなんなのかわかりませんが、SCPするだけでもNICがよくこけるのでRealtekの公式ドライバらしいrealtek-re-kmodのpkgを入れてあります。

移行

移行は15号機や25号機でもやってきたように、新しいマシンを傍らに置いて、ルータでNAPTを止めての移行作業です。1発勝負です。終わった時に脳汁(ドーパミン)が最も出るやり方です。まぁ失敗して戻したことは無いのですが、どのマシンの移行でもトラブルが無かったことも皆無という残念な方法です。

移行で面倒なのは設定ファイルのレビューですね。実はOSやソフトウェアは安定版ではありますが最新版を追ってて、リリース用ML等で新バージョンのアナウンスが出ると速攻で入れてます。しかし、バイナリとは対照的に設定ファイルはインストールしたときからほとんど変わっていません。

現に動いている設定ファイルなので、次のマシンに持っていても動きます(たまに動きませんが…)。ただ、長年使った設定ファイルと最新の設定ファイルを比較すると、今設定していない値に値が定義されていたり、わざわざ定義している値のデフォルト値等が変わって定義が不要になったり、定義している値が非推奨な値になっていることがちょくちょくあります。

このため、更改時には旧設定と新設定を見比べて、古い設定ファイルから新しい設定ファイルに適切に設定を移行する必要があるのですが、これがなかなか面倒な作業でした。ちなみに、今回の一番設定が違ってたのがmysql.cnfでした。FreeBSD10.0で入れたMySQL5.6の設定ファイルでもMySQL8.0でも動くのかーとは思いましたが、結構Deprecatedな設定があったのでそのまま持っていくのは流石にやめて、サンプルConfigから作り直しました。

チューニング

37号機同様、電力設定をチューニングしています。チューニングは37号機と同じでPL1=10W, PL2=25W Autoから、PL1=6W, PL2=10W 10sにしています。38号機はPL2=15W 20sぐらいは欲しいなぁと言うのが正直なところです。ただ、37号機と比べるとSSDの発熱が大きく、安定的に性能を出せる電力はこの辺りかなーって感じで37号機と同じPL1=6W, PL2=10W 10sにしています。

逆に言うと、37号機は38号機よりSSDの発熱が低いのに38号機と同じ設定なので、もっと上げられると言えます。ただ、面倒なので合わせています。

この設定でFreeBSD 14.0で、常温下に縦置きで概ね63〜67℃程度を推移しています。SSDの発熱のせいか37号機よりも10℃ほど高い温度になっています。ただ、先代の25号機もこんな感じの温度だったので、マザーボードなどでハズレ個体引いていなければそうそう壊れることも無いと思っています。

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