自作PC」カテゴリーアーカイブ

ASRock N100DC-ITX

023年の12月の暮れにAlderlake NのSoCオンボードマザーのASRock N100DC-ITX (ASRock公式サイト)を買いました。24、25、34号機の更改のためです。予備含め4枚買いました。

買った理由ですが、2019年頃に立てたJasper/Elkhartlake更改という計画を実行に移すためです。計画名と買ってるマザーボードが若干違う気がしますが、前述の通りCeaderView/Braswell機である24、25、34号機を更改(リプレース)するための計画です。

元々は名前の通りの計画で、自宅に跋扈しているCeaderViewやBraswell等の老朽機をJasper lakeかElkhart Lakeで一掃する計画でした。2020年頃には予算・資金も確保し、準備万端となりました。しかし予算は付いたもののパーツ調達フェーズで3年ぐらい計画が止まっていました。計画の要となるコンシューマー向けの Jasperlake や Elkhartlake を搭載したMiniITXマザーボードが一向に出て来ない状態が延々と続いてました。

出ないものは仕方ないのですし、Gemini Lakeはありましたが、Gemini Lake系統は実家で使ってて、できればGemini Lake一色には染めるのは避けたかったので、自宅ではD2550とかN3050という2010年代前半の古い機材で運用を続けていました。D2550の方はShuttleのベアボーン機で予備機を持っていたのですが、2020年に25号機が壊れてしまい、予備機の在庫がなくなったためまさに薄氷を踏むような運用でした。

そんな中、2023年中頃にようやくAlderlake-NでITX SoCが出ました。これがASRockのN100DC-ITXです。そして、更改のために購入したのがこのAlderlake Nのマザーボードです。

マザーボードの要件は下記の通りで、若干妥協はありますが、N100DC-ITXは概ね要件を満たしていため購入することにしました。

  • Mini-ITXであること。
  • ファンレスであること。
  • SATAが2本あること。
  • PCI EXpressスロットがあること。
  • ATX20ピン、または24ピンで給電されること。

要件1: Mini-ITXであること。

更改対象の24号機と25号機はShuttleの超小型ベアボーンどと言うプロプライエタリなプラットフォーム(以下、プロプラPF)でした。プロプラPFのベアボーンは電源とマザーボードと筐体が一式でセットになっています。

このお陰でMiniITXより小型化出来るのですが、調達も一式単位になるので予備機材が高く付きます。しかもマザーボードだけ入れ替えて更改みたいな芸当ができないので、壊れると一式交換となります。一式交換しかできないのでプロプラPFはメーカで一式がディスコンになると立ち行かなくなるデメリットがあります。

と言うか、実際に立ち行かなくなったので、オープンプラットフォーム(以下、オープンPF)であるMiniITXで建造することにしました。Mini-ITXの規格自体は(提唱したメーカは消えそうな勢いですが)、Intel/AMDも支持はしているのでここ10年ぐらいでは消えないかと思います。なので最悪はその辺のIntelなりAMDのデスクトップマザーを入れれば運用できます。

ここまでがプロプラPFからオープンPFに移った理由で、Mini-ITXにしたのは単純に置き場や運用の問題です。更改対象機はどれも専用機で、構成もシンプルで、運用期間中に増設も無ければ、高いエアフローが求められるマシンでもありません。

そして、私の家は狭く、大型マシンがメンテしやすい環境ではありません。そういう状況で大型機を買っても無駄で、邪魔で、メンテナンスがしにくいだけです。そう言う理由でMini-ITXにしました。

要件2: ファンレスであること。

ファンレスが実は超重要でした。

2010年以降の機材で、運用予定寿命が10年未満なら、埃の溜まる期間orファンの寿命<運用寿命です。一方、ファン以外のパーツは概ね、パーツの寿命>運用寿命です。つまり、ファンレスにすればマシンの運用寿命が来るまでほぼメンテフリーになり、PCの物理メンテナンスから解放されるのが大きな理由です。

強制空冷はどうしても埃が入ってきます。そして埃は最も通気しやすい部位の、抵抗の大きいに溜まってやがて詰まり、次に通気しやすい部分の抵抗の大きい部分に溜まってどんどん詰まっていきます。つまり、定期的に清掃が必要になります。吸排気を調整しても、セミファンレスでない限り大体3年ぐらいで詰まってきて内部温度が上がり、騒音レベルも上がってきます。

運用寿命が10年なら3年に1回は運用断を伴う掃除が必要です。私は台数が多いのでメンテそのものが面倒ですし、清掃期間の管理も面倒です。清掃せずに済むならやりたくないです。

そして、電動ファンはPCパーツの中では寿命が短いパーツで、これもまた、正しく動いているかの定期的な確認と、NGの際はサーバを停止して交換が必要になる面倒なパーツです。加えて電動ファンは小型のもの(〜60mm)は同一シリーズでもカタログスペックの時点で大型のもの(120mm〜)より寿命が短く、体感的にも故障しやすい傾向があります。

こんな感じで、24、25、34号機はファンレスにしたので更改後もファンレスにすることにしました。

要件3: SATAが2本あること。

SATAは結構重要で、OSが起動しない状況でデータを引き抜いたり移す際はNVMeよりSATAの方が色々便利なのでSATAにしています。

SATAよりNVMe m.2のが断然高速なんですが、SATA以外の部分が同じなら、その性能差が如実に出るような使い方をしない限り、スペック差ほど使用感に差は無いです。阿部寛のホームページを1Mbpsでも見てめ10Gbpsの回線で見ても1万倍の差を感じないのと同じです。

実際、私のマシンだと32号機のMacや36号機のhpのノートPCのSSDはNVMe/PCIeで、最も使う23号機はSATAなんですが、速度差を実感する用途は殆ど無く、いつの間にかSATAに変わっていてもしばらく気づかないと思います。。

要件4: PCI Express (PCIe)スロットがあること。

PCIeスロットはVPNルータの34号機の更改でNIC増設をするためPCIeスロットは必須です。

まぁ、PCIeスロット無くてもPCIeが生えてるM Key のM.2やE Key M.2のiCNVioからEthernetを生やす怪しい基板はあるにはあります。まぁ実際に買ってみたんですが、怪しいMACで、積んでる蟹チップすら正規品か怪しいぐらいです。

まぁ、怪しい云々の前にPCIeのEthernetカードを買う方が普通に安いですし、iCNVioもE Key M.2用の怪しいEthernetもなんていつまであるかわからないので、普通のPCI Expressスロットにしました。

ちなみにNICは蟹(Realtek)にしました。Realtekは Checksum オフロード関係がダメダメだったりしますが、ethtoolでOFFにしてしまえば終わりですし、初期コストも消費電力も低いです。また、N3050すら持て余しているマシンでやっていたことを、Skylakeクラスの性能が出るという謳い文句のCPU詰んだ専用機にやらせるのでCPU負荷が少々高くても特に気にならないので蟹で妥協です。

というか、対向にある実家の28号機なんてIntelから蟹で置き換えてますしね。

要件5: ATX電源

これは妥協しました。

最後のATX電源だけは待ってても出るアテもなく、妥協しても(4台ぐらいまとめ買いした)picoPSUの出番がなくなるだけで、それ以外はデメリットが無いので妥協としました。

ACアダプタはどうせ買いますし、picoPSUは次の更改で必要になれば使えばいいですからね。

これらを使って更改をしていきます。まぁ書いてる時点ではほぼ終わってるんですけどね。

33号機2期構成 ASRock J4125-ITX @ Morex Cubid 2799

先日、33号機の更改作業を行ってきました。2期構成となりました。作業としては新造時に入れたGemini LakeのマザボであるASUS J4005I-Cを、Gemini Lake Refreshの積んだASRock J4125-ITXへと置き換えました。

33号機はコロナの初期にあたる2020年6月に新造したマシンです。当時はGemini LakeのASRock J4105-ITXが家の中で跋扈していたので、一応製造元分散としてASUS J4005I-Cで自作したものです。

33号機のケースはMorex社のCubid 2977というケースを使っています。Morexのケースはここ10年ぐらいは日本ではまともに取扱が無いようで、2000年ぐらい以降生まれの方には馴染みのないメーカーだと思います。今でこそMiniITXはメジャーな自作プラットフォームですが、2000年代初頭のMiniITXは全然マイナーな規格で、VIA Technologiesというx86互換CPUメーカー(※)の独自規格みたいな時代がありました。

※VIA Technologies自体は2024年現在でも存続してますが、x86互換CPUメーカーとしてのVIAは今の兆芯がそれに該当します。

そんなマイナーな時代のMiniITXのケース事情はMorexのケース以外はほぼ選択肢がありません、みたいな状態で、初期のITXプラットフォームではITXといえばMorexみたいなポジションに近いケースメーカーでした。と言っても、MiniITX自体はMicroATXケースと互換性がありましたし、MiniITXはケースとセットでベアボーンとして売られていたことが多かったような気がするので、当時でもMorexが有名かというと疑問ですが。

しかし、このMorexのケースでよく採用されていた12VからATXを生成する電源基板は、基板サイズとビス位置がACアダプタ用の電源基板のデファンクトスタンダードみたいになってて、SST-ML10の電源基板もこれに準じた大きさやビス位置になっています。(ただ、Morexが主導したのかは存じません)

なお、正しくはMorex Information社で、コネクタハウジングの名門であるMolex社とは別の会社です。

33号機と13号機21号機の上にスタック(平積み)して置いています。下に置いている13/21号機も古いMorex のケースで、これらの上にスタックしたいがためにわざわざ在庫のあるEU圏から輸入してきました。2020年当時でも売っていること自体ある意味奇跡だと思いました。

このCubid 26xx/27xxシリーズ、個人的には好きなんですが、PCのケースとしては前時代的な設計です。フロントパネルは今だにUSB2.0のみで、IEEE1394(FireWire)がフロンパネルにあったり、ライザーは(Expressではない)PCIしか無いなど、20年間から何一つ進化していない感が見て取れます。フロントパネルオーディオにAC97のコネクタが残っているのも時代を感じますね(HD Audioのコネクタもちゃんとあります)。理由がない限り、今時このケースで新造するのはお勧めできません。

電源はACアダプタも付属していて、2000年代によくあった12VのACアダプタ+電源ボード式です。付属の電源は60Wです。ただ、電源基板は瞬間に取り外し、新造時から13号機や21号機と同じMeanwell GST90A19-P1M + Mini-Box picoPSU-120-WI-25の構成にしています。これは2期構成でも続投です。

と、まぁ、こんな感じで自作したまではいいんですが、構成がよく似ている13号機、21号機と比べると消費電力がどうチューニングしても4W程度高い状態が続いていて、正直初期構成で使い続けるのも微妙だなーと思っていたのが更改理由です。

今回置き換えに使用したJ4125というAtomの血を引くGemini Lake RefreshコアのCPUで、J5040の廉価版です。置き換え元のJ4005はJ5005の廉価版ポジションにあたりますが、J4005のJ5005に対する見劣り具合はJ4125のJ5040に対するものよりよりだいぶ大きいのも気になってました。

J4125はJ5040とCPU部分を比べるとコア数やスレッド数、ベースクロックは同じで、Turboboostのシングルコアの吹き上がり方が違う程度でした。が、J4005はコア数まで違います。この差は結構気になるところでした。

実作業は私が度々やってマザボ一式(マザボ+CPU+メモリ一式)を置き換えてそれ以外のパーツは続投のやり方です。このやり方はSSDをそのまま引き継ぐのでOS回りの作業が少なくて楽なんですが、更改した時の感動は薄いですね。ドーパミンが出ません。。

このケース、PCIeにブラケットを付けるとブラケットの先端がマザーボードのオーディオコネクタにつっかえてマザーボードを引き出せないので、地味に面倒です。PCIeは何も実装してません(※)が、40mmファンを無理やり付けてて、エアフロー確保のためにグリルタイプのスカスカのスロットカバーをつけています。ちなみにケース、PCI用のライザーカードは付属しますが、PCIe用は無いのでPCIeカードの実装はあまり現実的ではありません。

ファンは40mmが2つ、60mmが1つついてて、いずれも10mm厚です。すべてアイネックス社のOMEGA TYPHOONシリーズを使ってます。劣化傾向が見られないので続投にしました。Duroベアリングを採用するアイネックスのGlobe fanは60mm以下に限って言うと耐久性と静粛性を高いバランスで備えていると思います。まぁSanyoやNoctuaと比較すると劣るのかも知れませんが、少なくとも同一価格帯のファンの中では頭ひとつ飛び抜けた耐久性があると思います。

まぁ、これはアイネックスでもGlobe FanのCFZ-4010とかCFZ-6010とかに言えることで、同社が出してるCFY-40SAなんかは全然持ちませんでしたね。CFY-40SAは値段の割に2BB軸受ということで、耐久性に期待を込めて13号機に付いてたことがあったんですが、スリーブと見紛うぐらい勢いでそそくさと逝き、私の予備品在庫から消えて行きました。CFY-40SAの方が100円ぐらい安いですが、お値段以上に寿命の差があるので、耐久性が欲しい場合は手を出してはダメです。

電源も前述のとおり続投です。MeanwellのMTBF 38万9000時間は最強です。まぁこれ、25℃雰囲気下でのスペックなので、アレニウス則下だと55℃なら48,000時間程度なんですけどね。まぁ、実家の断熱は無いのと同義で、5℃とかも時も普通にあるので、実質プラマイゼロで普通に20年程度は期待できるのではないかなと思ってます。

SSDはSamsung 840 EVOとTranscendのSSD370です。このTranscend 370はググっても370Sばっかりヒットするんですが、370と370Sとは別物で、370はdevsleep非対応でTBWも370Sと比べると若干少なめです。まぁ、devsleep非対応なこともTBWが若干少なめもS.M.A.R.Tの稼働時間が再起動のたびにリセットされることに比べれば実に些細なことです。Transcendの稼働時間は起動からの時間だ、と思いたいところですが、これ、同じTranscend 370ですらファームが違うと普通に総稼働時間だったりするのでマジで意味不明です。早く置き換えたいです。

J4005I-CもJ4125-ITXもEthernetはRealtekのものなので、デバイスシンボルは/dev/re0から変更がありませんでした。よって、FreeBSD14では何も設定することなくIP/Default Gatewayなどを引き継いて運用を再開することができました。

何年運用するかはわかりませんが、次の更改か、運用終了時に電源を切るまでまで問題なく動いて欲しいものです。

Silverstone SST-ML10B

購入後10年が経ち、老朽化著しい24、25号機の後継機用として買ったのがこのケースです。Silverstone製のSST-ML10Bです。AntecのISK-110も候補でしたが、ISK-110は電源がこのケースの専用基板で単体販売はされていないため、SST-ML10Bを選びました。

ISK-110用の代替電源としてデザインしてみたPicoPSU用変換基板

実は上にあるように、ISK-110の予備(代替電源)を、PicoPSU使う前提で変換基板をKiCADでデザインしたことがあります。しかし、左上のDCジャック部分からPicoPSUに電源供給するための部分が難しく、高い電流値を担保可能な配線幅を確保するのは基板スペース、私の技能は困難でした。

そんな感じで色々考えた結果、SST-ML10Bで妥協になりました。まぁ、妥協というか、GeminiLake以降のマトモなSoC iTXマザボの販売を待ってたらISK-110は終売になってしまって、SST-ML10Bを選ぶしかなかったというのが実際のところです。

Silverstone社のSST-ML10のマニュアル
V1のVESAマウンタ
https://www.silverstonetek.com/upload/downloads/Manual/case/Multi-MILO10-Manual.pdf より引用
V2のVESAマウンタ
https://www.silverstonetek.com/upload/downloads/Manual/case/Multi-MILO10-Manual-V2.pdf より引用

SST-ML10はAmazonには末尾B付き(SST-ML10B)とB無し(SST-ML10)のモデルがありますがその差は謎です。またマニュアルを見るとRevisionがあって、V1とV2があるらしいです。私のは箱にはV2.2と書かれていました。V1とV2はVESAマウンタの構造に違いがあります。コスト面の改良って感じですね。V2のケース裏側の中央線付近にはV1であったネジ穴はなくなっているので、V1とV2でマウンタの使い回しは無理そうです。このバージョンは外箱のラベルに書かれています。マイナーバージョン間の差は謎です。

ケースは購入時はElevatedの状態で入ってて、Nov-Elevated用のフロントパネルと上面蓋が入っています。。Non-Elevatedにしたい場合はフロントパネルと(横置き視点での)トップパネルが必要です。

フロントパネル

フロントパネルは如何にも金属のヘアライン加工に見えますが、実際には樹脂のヘアライン加工です。手の込んだコストカットですね。

LEDはPWR LEDもHDD LEDも白です。ギラギラとした下品な感じは無く、上品な光り方です。まぁ、単にN100DC-ITXのLEDのドライブ性能が低いだけな可能性もありますが。

LEDは電源とHDDで形状も変えてあって色覚特性の異なる人にも配慮されてる気がします。私自身は正常色覚ですが、こういうユニバーサルデザインは好感が持てます。まぁ、LED表示の形状を変えてて同じ白LED使うぐらいだったら電源とHDD LEDの色は緑LEDと赤LEDでも別に良くね?って感じもします。

LEDはリード付の砲弾型LEDや角型LEDが所定の場所に頭からブッ刺してある構造ではなく、ボタンも含めて基板に実装されたのがフロントパネルに取付されている構造なのでポン付け交換は出来ません。

フロントのボタンは電源ボタンのみです。リセットボタンはありません。フロントパネル向けのコードがリボン状なのは好感が持てます。

フロントUSBはType AのUSBが2ポートで、どのGenまで対応しているかは知りませんが、一応2つともUSB3対応です。マザーボード側は普通の19ピンです。ケース内部はフラットケーブルです。狭いケースなのでフラットケーブルは好感が持てます。

SilverstoneのSST-ML10の商品紹介ページ

このUSBコネクタ、USBコネクタの上側がケース外側(平置きした時に向かって左側)を向いています。つまり、上記のように商品紹介のように電源ボタンを上側にして縦置きすると、USBコネクタを逆さにしないと刺さない、というなかなか設計センスを疑う構造です。見にくいですが、上記画像でも見にくいですが、USBコネクタが上下逆になっています。USBコネクタはメスの場合は凹んでる部分が下になれば上下正しいですが、商品紹介の縦置きは凹部分が上になっているのでコネクタとしては上下逆です

まぁ、Silverstoneのケースは過去3つ使ってますが、どのケースも何故この設計で良しとしたのかよくわからん要素が1つぐらいはあるので気にしたら負けだと思います。どのケースもロングセラーなのできっと正義なんでしょう。

まぁ、USBがこれだからというわけではありませんが、縦置きする場合で、N100DC-ITXみたいにメモリをノース側に実装するMBをファンレスで搭載する場合、電源ボタンを下側にくるように設置するとメモリがCPUの熱に炙られません。ただ、50mmファンはケースの向かって右側につけますので、つける場合は商品紹介みたいに置いた方がいいです。

マニュアル

取扱説明書は同梱されてません。詳しくはWebで、って奴です。そして、この説明書は付属品の扱いが結構雑です。何が入っているかは書かれていますが、いくつ入っているかは書かれていません。なので員数確認のためだけに見るなら見る価値は限りなく低いです。

説明書の付属品に関する項目。

どこにどう使うのか謎なものもあって、ゴム脚が入ってるんですが、数はもちろんの貼り付け位置は書かれてません。極め付けはMBの下に貼り付けると思しき絶縁シート?で、未貼り付けで同梱されているのですが、マニュアルには同梱されている事実すら記載されてません。もちろん補足の紙もないです。「PC自作してんなら見りゃわかんだろ」というの地で行くKOTY的ストロングスタイルな感がありますね。嫌いじゃないですが不親切です。

この絶縁シート?ですが、ネジ穴のクリアランスの余裕が少ない上、全面で両面テープなのでミスると貼り直しは難しいです。そのため雑に貼ると泣きを見ます。私は下記の写真のようにして養生テープで取っ手を作って慎重に貼りました。

SST-ML10の絶縁シート貼り

まぁ、このシート、貼る意義も必要性も特に感じないですが、貼るならフロントパネルも外してからやった方がが無難です。このフロントパネルなんですが、底面のネジだけNo.1のドライバが必要です。これもあんまりセンス感じない造りですね。

ここのネジだけNo.1です。外さないとフロントパネルが外せません。

ケースはケンジントンロック用のホールが付いてて、Kensington純正品かシリンダー付きの互換品なら一応ケースが開かないようになると思います。ロックバーでフタと本体を貫通させてくくりつけてるわけではなく、単にロックのシリンダーの円筒部分でトップカバーのスライドを妨害してるだけの構造です。よってケチくさい会社や事務所が買うようなやっすい互換品だと効果無さそうですね。

ファン

ファンは10mm厚の50mm角のファンが3つと、120mm/140mmのファンが1つ付けられます。120 mmか140mmかは排他ですが、これと50mmは別に排他ではないので両方とも付けられます。50mm側外側から内側に向けて皿穴があいてます。ただ、ケース自体にはファンもネジの付属もありません。「ファンをつけたければ全部自分でご用意しな。」というスタンスです。

この50mmというのは結構曲者で、国内においてそこら辺で変える50mmファンを出してるマトモな正規流通はアイネックス社のものだけです。アイネックス社の大口径ファンはラインナップも品質もやる気のを感じませんが、小口径のラインナップは神そのものですね。通販だとモノタロウでRS Pro(中はどうもOrionFanっぽい)も買えます。

ちなみに、大御所のNoctuaや山洋は何故か50mm自体のラインナップがありません。よってPWM対応が欲しい場合はDigikey漁ると出てきます。やはり種類少ないですが、Wakefield-Vette社のDC0501012シリーズが適合すると思います。ただ、自作向けとして取り扱っているわけではないので、データシート見てどれ買えばいいのかよくわからないのであれば、素直に120mm/140mm積むかアイネックスあたりで手を打つのが無難です。私はファンレスにしたいので買いませんでした。

Elevatedにすれば2.5インチSSDをつけてても120mm/140mm口径の25mm厚のファンが入りそうですが、実はNon-ElevatedからElevatedの蓋に交換して増える高さ(外寸)は実測で23mmしかありません。なので、2.5インチSSDと25mm厚のファンを入れると干渉すると思います。

電源部

電源はACアダプタを使用する想定で、既製品が使えるように考慮されていると思います。一応専用の純正品が販売されていますが、PicoPSUや2000年代前半のITXケースによくあった電源基板も使えるようになってます。壊れてもどうにか出来るあたりはこのケースの好感が持てる部分です。

DCジャック用のホールはPicoPSU純正ののバレル型DCジャックが入ります。PicoPSUの純正バレルジャック部分はM8ネジですので、PicoPSU以外でもM8に近い構造なら入るとは思います。ケース側はネジの切ってない単なるバカ穴です。尼のレビューにもあるんですが、位置的にはファンに干渉するのでファンガード(グリル)必須ですね。付ける余裕あるのか知りませんが。いまいちな部分ですがここは仕方ない要素があるかなぁって感じです。

Morex(≠Molex)のケースに採用されていたCUI PJ-039AHのようなパネル取り付けのバレル型DCジャック(※)も寸法的には合ってるので付けられると思います。ただ、Power DINは無理だと思います。というかMini DINのPower DINでも無理だと思います。

※(免責)Morex Cubid 26xx/27xnシリーズのバレルジャックはCUI PJ-039AHと見た感じは同一形状ですし代替品として嵌りますし、実際私も代替品として使っています。ただ、このシリーズがCUI PJ-039AHを実際に使っているのか、単に互換性があるだけのパーツなのかは不明です。ちなみに末尾AHは内径2.5mm、末尾BHは内径が2.1mmです。

電源基板部

SST-ML10Bにある電源寸法
https://www.silverstonetek.com/upload/downloads/Manual/case/Multi-MILO10-Manual-V2.pdf P.9より引用
AD120-DCの電源寸法
https://www.silverstonetek.com/upload/sstedm/ad120-dc/AD120-DC-Product_Sheet-JP.pdf より引用
Morex Cubid用に作ったPicoPSU用変換基板

画像一番上がSST-ML10Bに適合する電源基板、真ん中がこのSST-ML10B用に設計・販売されている純正電源、下が私が昔、古いMorex Cubidシリーズ用に設計・製造したPicoPSU用の変換基板です。基板サイズ、ネジ位置はほぼ同じなので、Morexなどの古いものをそのまま使うこともできるはずですし、逆にAD120-DCをMorexなどのケースに使い回すこともできると思います。

ただ、マザーボードとのクリアランスは広くなく、フロントパネル部分はUSBやボタン、LEDなどのパーツがあるので、これらのパーツ、あるいはマザーボードと電源基板上のパーツが干渉しないかは現物合わせが必要です。

今回はマザーボードに電源アダプタを直結するタイプのマザーボードなので使いませんが、更改時には役にたってくれると思います。

総評

叩いている部分もありますが、どうにかなる部分がほとんどで、総じて言うと好感の持てるケースです。わかる人には高いポテンシャルを感じられるケースです。

ただ、マニアックな口径のファン、員数・取付位置が不明なパーツ、存在意義の謎なパーツ類など、わかる人向けに作られてる感は否めません。そういう点ではパワーユーザー向けだと思います。

USB Type-C Dock(非Thunderbolt/PD/GbE/USB3.xポート/4k60Hz)の勘所

先月36号機(モバイルノート)を買ったんですが、USB Type CがThunderbolt非対応だったので、非ThunderboltのType C Dockを2メーカほど買って試していました。なんとなく選び方の勘所がわかった気がするので書きたいと思います。

私の要件はこんな感じです。

  1. HDMIで4K 60Hzで表示できること。
  2. Gigabit Ethernet(GbE)が搭載されていて1Gbps(実効950Mbps)が出ること。
  3. USB3.0が搭載されててその速度が出ること。
  4. DockでPDで受電して、PCに送電できること。

上記の1〜3要件を満たすDockを買うのに、書かれている、または外観上必要があるのは下記のI〜IIIです。

  • I. 4K 60Hz対応が明記されている。
  • II. PC側でのType C + Display Port(以下、DP)1.4対応が必須と書かれている。
  • III. USB3.0以上の端子が搭載されている。

当然ですが出力する側のPCが4k 60Hz、DP 1.4以上(1.3でもOK、1.2はNG)に対応していることや、モニタがHDMI2.0/4k 60Hzに対応していること、LANが1Gbpsでリンク可能などの周辺機器が対応OKなのが前提です。

理由は後述しますが、私と同じ要件のDockを購入される予定なら上記のI~IIIはすべて対応しているのが重要です。

1番目の4k 60Hzの要件ですが、4k 30Hzしか対応してないDockは値段に関わらず普通にあります。しかも、この記事書いている時点では4k 60Hz対応より値段の高い4k 30Hz迄対応のType-C Dockも普通に売ってます。

そのため「4K対応」とだけ書いてあって、肝心の対応周波数書いていないType-C Dockは、4k 60Hzが必須なら買わない方が無難です。

4番目の要件のPDの部分は、PD対応書いてあればまず大丈夫です。ただ、PD受電用のType-CポートがPD専用か、それともUSBポートとしての機能もあるかはDockの機種次第です。

PDは2つトラップがあって「DockにType CがついてるけどPD受電不可」と、「PCからの受電では動作しない(PD挿して外部給電しないととまともに動かない)」という罠がある製品もあります。

DellのDA-300なんかは前者です。1万円近くしたのになかなかのクソ仕様です。後継のDA-310はPD受電できるらしいですが。ちなみに、このDA-300を36号機(hp)に繋いだら普通に画面出ませんでした

あと、PD受電そのものが付いていないDockもあります。購入前によく確認が必要です。


さて、Type-C Dockのモニタ出力部分はほぼ全ての機種がDPをHDMIに変換しています。つまりUSB Type-C の Alternate modeを使って映像データをDisplay Portで送信しています。

これはDisplay port Alternate modeという仕組みを使用しています。

HDMI Alternate mode自体はある(Impress PC Watch)ようですが、HDMIは必要な芯線数(差動ペア数)多いですし1.4までしか対応していないようで、DP変換でいけるならDP変換で良くね?って感じはしますね。対応が遅れたのが普及していない理由とも言われますが、先に出ててもDPに抜かされたと思います。

ナントカ Alternate modeというのはホスト側とデバイス側が交渉(Negotiation)して、お互い合意が取れたら通常はUSB3.xに使用する信号線の一部に、USB信号以外のデータを流してしまおうという規格です。

Thunderbolt(以下、TB)やDPをUSB Type-Cで接続できるのはこの規格があるからです。それぞれ、Thunderbolt Alternate modeやDisplay Port alternate modeなどと呼ばれます。まぁ、PCでは事実上ThunderboltとDisplay PortのAlternate modeの2規格しかありませんが。

Alternate modeには両端USB Type C〜USB Type CのUSBケーブルが必要で、Type Cコネクタのピンの全結線が必要です。つまり両端がType CでもUSB2.0までしか対応しないケーブルや、USB3.2対応でも片端がType C以外のケーブルはAlternate modeには対応しません。Type A〜Type CケーブルのType A部分をType C変換してもAlternate modeでは動作しません。。

これはUSB2.0のType C〜Type Cケーブルや、片端がType C以外のケーブルにはAlternate modeで高速伝送可能な信号線が無いか、充分に入ってないからですね。

USB Power Delivery(PD)も両端Type Cが必須ですが、PDはAlternate modeとは別枠ですのでPD単体ならUSB2.0のType C〜Type CでもOKです。ただ、Type A〜Type Cのコネクタ形状を変換して無理やりUSB Type C〜USB Type Cにしてもダメです。

両端がネイティブでType C対応が必要なのはAlternate modeもPDも同じです。PDは高速伝送可能なペアは必要ありませんが、Type AやType Bなどの端子はPDに必要なCC1/CC2端子が無いから変換ではダメなんですね。


Fig01. USB Type C Receptacle ピンアサイン

さて、そのなんちゃらAlternate modeではUSB Type-Cが必須ですが、そのUSB Type-Cのピンアサインはフル結線だとFig01のようになっていて、USB以外の通信に転用できるのは5対10線、高速4レーン+低速1レーンの合計5レーンです(※1)。

  • (高速用)A2/A3 TX1 (TXp1/TXn1)
  • (高速用)B10/B11 RX1 (RXn1/RXp1)
  • (高速用)A10/A11 TX2 (TXn2/TXp2)
  • (高速用)B2/B3 RX2 (RXp2/RXn2)
  • (低速用)A8/B8 SBU1/SBU2

※この記事でいう1レーンは差動ペア1つのことを指します。PCIeやUSBで言う1レーンは差動ペア2つ(TX1/RX1の1セット)で1レーンと呼びますが、DPは差動ペア1つを1レーンと呼んでるっぽいです。ここでは特記がない限りDP側に併せて差動ペア1つを1レーンと呼ぶことにします。

A2とかB2というはUSB Type Cの端子番号です。高速用・高速レーンとは数Gbps以上の高速なデータ転送レートに対応します。TXnとかRXnはSSTXnとかSSRXn(n=1,2、SSはSuper Speedの略)とも表記されます。ちなみにAlternate modeではRXの差動対でデータを送ったりと元の端子のデータ送受信の方向に関係なく使えます。

要件の2と3にある「Gigabit Ethernet(GbE)が搭載されていて1Gbps(実効950Mbps)が出ること。」と「USB3.0が搭載されててその速度が出ること。」は実は同じ内容で、Type C Dockで1Gbps以上出すには内部的にはUSB3.0以上(〜USB3 Gen2x1、以下USB3.x)で接続されている必要があります。GbEがUSB2.0接続されていると1Gbpsなんて出ませんからね。

Fig02. 内部的な接続(USB Tree Viewで表示)

Fig2.はちゃんと1Gbps出るEthernetポートを積んだDockで、上記のようにType-C Dockの内部にはUSB3.xハブのコントローラ(Fig02では汎用Super Speed USBハブ)があって、配下のPort4にGigabit Ethernetがぶら下がってます。ちゃんとSuper Speedでリンクされてるいるのがわかります。ちなみに、このDockはSD/MicroSDのカードリーダがついていてPort1にマウントされています。

Dockに普通のUSB3.xのType Aポートもある場合、そのポートもその内部のUSB3ハブにぶら下がっています。Fig02のDockの場合、Port2とPort3がそれです。ちなみに機種によってはPD受電のType CコネクタもこのUSB3.xハブにぶら下がっていたりしますがこのDockにはありません。

このようにDockがUSB3.xのハブの機能を持つにはType Cの4+1レーンからUSB3.xに必要な通信線割り当てないといけません。USB3.xはx1規格の場合(つまりUSB3.2 Gen 1×2とかUSB3.2 Gen2x2ではない場合)、高速レーン(高速用の差動ペア)が2レーン必要(※1)です。
つまり、TX1/RX1/TX2/RX2の高速4レーンのうち高速2レーンをUSB3.0通信に割り当てる必要があります。ちなみにUSB2.0部分はAlternateでは通常転用できない(※2)のと、Alternate云々に関係なくあるので考慮から除外します。

※1: 繰り返しですが、実際はUSB規格ではこの作動ペア2レーンのことを1レーンと呼びます。USB3.2 Gen2x2のx2というのはこの差動ペア4レーン全部(USB規格上は2レーンと呼称)を使って実現しています。
※2: 半分嘘で、一部のスマホなどで使われているらしいAudio Alternate modeではUSB2.0のポートを転用しています。もちろんUSBの機能は失われます。ただ、PCでは(Alternateで頑張らなくてもUSB2.0部分にUSB Audio繋げばいいだけなので)使ってないと思います。

Fig03. USB3.xにTX1, RX1を割り当てた場合のピンアサイン

ここではUSB3.xに左側のTX1/RX1(SSRX1, SSTX1)を割り当てたと仮定すると、残ったレーンは下記の3レーンです。つまり映像信号は高速2レーンと低速1レーンの合わせて3レーン以下で送らないといけません。

  • (高速用)A10/A11 TX2
  • (高速用)B2/B3 RX2
  • (低速用)A8/B8 SBU1/2

先ほど、Type C DockのHDMIはDPからの変換と言いました。DPはHDCPなどの映像本体以外の信号のやりとり用として映像転送とは別に信号線が1レーン分必要です。DPではAUX+/AUX-というピン名でアサインされています。Display port Alternate modeではこれにSBU1/SBU2を割り当てます。

Fig04. DPのAux+/Aux-
Wikipedia Display Portの項より引用。2022.08.28閲覧

残ったType Cのレーンは下記の高速レーンが2つです。

  • (高速用)A10/A11 TX2
  • (高速用)B2/B3 RX2

ところで、4K 60Hz、色深度RGB10bit(計30bit)、HDRがない場合のDisplay Portのデータ転送レートは15.68 [Gbps]です。またDisplay Portの1レーンあたりの速度はDisplay Portのバージョンによって異なっており、Wikipediaでは下記の通りとなっています。

Fig05. Display Portの転送速度
Wikipedia Display Portの項より引用。2022.08.28閲覧

DP自体は最大4レーンですので、4k 60Hzに必要な15.68 [Gbps]をType Cで実現するには下記のどちらかで実現する必要があります。
I. DP1.2で4レーン(5.4Gbps x 4レーン)
II. DP1.3 or DP1.4以上で2レーン(8.1Gbps x 2レーン)
※この記事書いた時点ではDisplay Alternate modeで対応するのはDP1.4までです。またUSB4は除きます。

Fig.06 – IのDisplay Port 1.2で4レーン使う場合のピンアサイン例
VESA – DisplayPort(TM) Alternate Mode on USB-C(R) P.23, USB.org, 2022.08.28閲覧
Fig.07 – IIのDisplay Port 1.4で2レーン使う場合(典型的なUSB3.x/HDMI搭載のDock例)
VESA – DisplayPort(TM) Alternate Mode on USB-C(R) P.22, USB.org, 2022.08.28閲覧

私の要件満たすType C Dockの場合、結論としてはIIです。

Fig.07を見るとType Cの高速4レーンのうち、2レーンをすでにUSB3.xに使われています。残った高速2レーンで4k 60Hzに必要な15.68 [Gbps]を出そうとしたらDP1.3 or DP1.4(8.1 [Gbps] per Lane)が必須です。DP1.2(5.4 [Gbps] per lane)だと2レーンでは10.8Gbpsしか出ないので4k 60Hzを出すには帯域が不足です。

まぁ、そもそもUSBポートを持ってるType C Dockで4k 60Hzを出すには、現状、下記の2通りしかやり方がありません。

  1. Display Port 1.2で、USBポートを非実装か実装してもUSB2.0にして、高速4レーンを全部DPに回す(USB3.0は妥協する)。→Fig06のパターン
  2. Display Port 1.4で、高速4レーンのうち2レーンだけをDisplay Port Alternate modeに回して、残った高速2レーンをUSB3.0に回す。→Fig07のパターン

DP 1.2でも4k 60Hzの出力は可能です。ただ、DP1.2で4k 60Hzを出力しようとすると、高速レーンを4レーン全部使わないと帯域が足りません。そのためType C DockでPC本体側、もしくはType C Dock側のいずれかがDP1.2にしか対応しない場合、Dock側の(Thunderboltがない限りは)USBポートは2.0にしかなりません

DP1.2までしかDockが対応していないのに、Dockが「USB3.xが絶対必要!」とネゴシエーションで譲らないなら、映像に関してはDP1.2 x2レーンで接続されます。

DP1.2 x2レーンの最大解像度は4kだと30Hz迄なので、必然的にDockの4k 30Hzまでの対応になります。4k 30Hzは7.73 [Gbps]なので、4k 30HzまでであればDisplay Port 1.2でも高速2レーン(10.8 [Gbps])で伝送可能です。


別の見方をするとUSB3.0ポートがあるのに4k60Hz対応と謳われていなかったり、DP1.4が必要と書かれていない場合は、書き忘れで無ければ下記の可能性があります。

A. 4k 30Hzまでしか対応してない。
B. 4k 60HzにするとUSBが2.0になる。
C. ポートの見た目はUSB3.0だが、内部結線はUSB2.0(詐欺)
D. ちゃんとDP1.4で4k 60Hzに対応しているが、Thunderbolt以外での使用を考えていない。

Cの詐欺パターンで無ければ、4k 60Hz非対応として流通してるType-C DockはAがほとんどだと思います。

AとBはDisplay Port 1.2までしか対応していないパターンですね。

Aは、4k 30Hzまでであれば前述の様にDisplay Port 1.2でも高速2レーンで伝送できるので、4k 30HzとUSB3.0で同時成立させてるパターンです。この記事書いている時点ではこのパターンの製品が多いです。

BはDPでType Cの高速レーン使い切ってて、USB3.xに高速レーンを振る気が無いか、割り振れないパターンですね。ヨドなどの国内市販品でBのパターンは私が調べた限りではありませんでした。

ただ、どことは言いませんが、4k 60Hz対応と書かれてるのに、中のDP/HDMI変換チップのチップ名が書かれてて、そのチップベンダのページ見るとがDP1.2まで対応という中華のType C Dock製品を尼で見たことあります。買ったわけでは無いので動作の真偽の程は謎ですが注意が必要です。

ちなみにDockではなく単なるType-C〜HDMI変換の場合、USBポートがそもそも不要なのでDP1.2で4k 60HzをFig06のパターンで実現している製品も多分にあると思います。

ThunderboltはThudnerboltというプロトコル(実際はPCI Express)でDPもUSBもペイロードとして送受信して、それをPC側やデバイス側で解きます。Thuderbolt自体は4+1レーン全部使い切りますが、あくまでThunderbolt通信であって、DPやUSB3.xはそのThunderbolt通信の上に乗るようなになるのでDPとUSB3.xは併存可能です(※)。

※この説明はThunderbolt対応のUSB Type CにThunderbolt対応機器を接続して、Thuderbolt modeで使う場合の説明です。

Windows Updateで降ってくるIntel Display Driver 27.20.100.9415(2022/07/11)は動作が怪しい。

8月度のWindows Update(以下、WUD)に混じって降ってきた「Intel Corporation – Display – 27.20.100.9415」ですが23号機のIntel UHD Graphics 750では動作が怪しいです(クラッシュしてる)。
※正確には8月度のWUDではなく私の場合は2022.08.07に降ってきてます。

先日のIntel MEの件は、WUDで降ってくるIntel MEより新しいバージョンを当ててやると、WUDで降ってくるバージョンを無視して新しいするようですが、このIntel UHD Graphics 750に関しては後から入れられた方を優先するようです。

Fig1. より新しい31.0.101.3222を入れているのにWindows Updateでは古いバージョンが落ちてくる。
Fig2. Windows Updateが終わると古いバージョンが使われてしまう。

画面は構成が似てて使用するドライバも同じ35号機のIntel UHD Graphics 730ものです。Fig1.のようにこのアップデートより前に最新の31.0.101.3222(Intel)を入れてあったのですが、Windows Updateでは古いバージョン(27.20.100.9415)が降ってきてましたし、Fig2のようにWUD当てたら普通に古いのが使われました。

Fig2のようにでWUDで古いドライバが有効化されても、古いドライバ自体はプリザーブされてますので、もしより新しいドライバを入れてるのであれば、上のFig2.の「ドライバを元に戻す」を選択するとFig3のような「ドライバー パッケージを戻す」の画面が出てくるので、理由を適当に選べば戻せます。

Fig3. ドライバを戻す画面

上のFig2.の「ドライバを元に戻す」のボタンがグレーアウトで押せない場合、面倒ですがIntelの公式ドライバで一度上書きしてから、一旦WUDを受け入れた上で、上記ステップでdevmgmt.msc (デバイスマネージャ)上から「ドライバを元に戻す」で元に戻してください。

Windowsのドライバはたまにハズレドライバが落ちてくるので、安定重視ならGPOで禁止してもいいと思います。ただ、ドライバも脆弱性が出ることがあるので、更新しないのが最善かと言われると微妙なところです。

2022年07月度のWindows Updateに含まれるIntel MEはRocket Lake上での動作が怪しい

Windows Updateは8月度が出ていますが、7月度の問題が解消できたのでようやくメインマシンに入れることができました。

Yuaihoは23号機(Z590+Rocket Lake)をメインに使っているのですが、2022年07月に含まれるWindows Updateをを当てたらBSoDが頻発するようになりました。

怪しそうなのを探してみると7月度のWindows Updateに含まれる「Intel – Software Component – 2130.1.15.0」を入れたせいっぽいです。Yuaihoの環境では、ですが。

「Intel – Software Component – 2130.1.15.0」の中身はSkylake以降用のIntel Management Engine(Intel)のようです。

Windows10はパッチを選り好みして入れる方法が事実上ないので(Blacklist化は出来るが面倒なので)、より新しいドライバを入れてからWindows Updateを当てると「Intel – Software Component – 2130.1.15.0」自体はインストールされるもののドライバ自体は新しい方を利用するようです。

Fig1. devmgmt.msc(デバイスマネージャ)

ドライバのバージョンは「devmgmt.msc」の「システム デバイス」の「Intel(R) Management Engine Interface #1」の「ドライバ」タブで確認できます。

Fig2. Intel(R) Management Engine Interface #1のプロパティ

なんかIntelのWebサイトのものと若干違う気がしますが、2130.1.15.0ではないっぽいので細けぇこたぁいいんだよってことで気にしないことにしました。一応、この方法でIntel Managementを更新したら、安定して動作するようになりました。

ちなみに、Fig.2の「ドライバーの更新」で強制的に別のバージョンを使用させることもできるようです。ただ、ネットの記事を読んだだけで試したことがないので本当にできるかは知りません。

割と危なかった秋葉原通り魔事件

 2008年にあった秋葉原通り魔事件の犯人(加藤智大死刑囚)の死刑が今日執行されたみたいですね(産経新聞)。色々ある方もいると思いますが、犯人がこの世からいなくなり一旦幕引きという感じでしょうか。

 この先はまぁ昔話です。

 この事件があったのは2008年06月08日の日曜日です。私は当時15号機を建造中でした。15号機のパーツ一式自体は同年06月04日に秋葉原で買ったですが、稼働前のチェックでmemtestとMHDD(※1)の試験がパスせず、建造が遅れていました。

※1: MHDDとは不良セクタの検査用ソフトで、HDDの全セクタを走査して各セクタ(ブロック?)の読み込み時間を収集するソフトです。50[ms]以上がモリモリ出ると不良品か寿命です。最近というか、AFTになった頃辺りからはこの試験やってないです。

 まぁ、要はメモリとHDDが不良品だったんですね。不良品は交換してもらわないといけないので、この事件があった06月08日に秋葉原に行く予定を立ててました。06月07日は土曜日でしたが色々予定があって行くことが出来ませんでした。

 この当時はよく一緒に秋葉原に行っていた友人(※2)がいて、特に理由がなければなければ06月08日の大体11時ぐらいに集合して一緒に行く予定でした。まぁ、後述のせいで約束してませんでしたが。

※2: ちなみに12号機を一緒に組んだ友人と同一人物。

 で、その秋葉行く予定ですが、前日の06月07日に飲み過ぎてしまって、残念な感じに潰れてしまいました。なんとか家に辿り着いて目が覚めたら、すでに事件が起きたあとの13時過ぎでした。

 目が覚めて『なんか携帯に着信とメールがやったら多いな。誰か亡くなったのかな?』と寝ぼけながら確認すると、心配した親や友人からの大量の着信でした。
 最初はよくわかりませんでしたが、上記の友人から「秋葉原で大変なことになってるよ」って言われてネットか何かで確認したら、秋葉原で通り魔事件があったことを知り、大量に着信があった理由を把握しました。

 まぁ、要するに前日酔いつぶれていなければ時間的にほぼ間違いなく事件に巻き込まれてたってことですね。危なかったです。まぁ前日のは潰れたと言うか実際は酔い潰されたというのが正しいんですが、結果的には助かりましたね。
 ぶっちゃけベンチで寝てた時は死ぬかと思いましたが、道路か担架の上で死ぬかと思ってたor死んでた可能性があるよりは全然マシだったと言うことですね。

 そして、その事件があった時間帯は二日酔いで寝てた(事実上音信不通になっていた)ので事件に巻き込まれてないかとめちゃくちゃ心配されました。親に会うと「あの時はすごく心配したんだぞ。」って今でも言われます。

 後日談というか余談ですが、15号機の建造は急いでいたので、この事件発生後、事件は見なかったことにして、その当日に前述の友人と秋葉原行って不良品パーツを交換しました。

 事件日に交換されたパーツというと何かいわく付きな感じがしなくもありませんが、特に問題なく試験はパスし、15号機は無事06月14日に落成しました。現役だった約8年間も特に大きな問題もなく2016年の引退まで普通に安定稼働してました。まぁCPUがVIA C7なんで遅かったですが。

 そして、事件の後に当日秋葉原に行ったことを聞いた私の父が「事件後に行くなんて何考えてるんだ!」と激おこ憤慨丸だった、と後に母に聞かされました。

Gemini Lake Refreshの後継と米国株式市場

米国市場急落しましたね。ヤバげです。

 所有マシン群で更改待ちの24, 25, 34号機ですが、自称Tremont更改(通称Jasper更改)という更改計画でリプレースを予定しています。それの何が問題かというとこの計画で使う資金が米国市場で運用されているからですね。

 Tremont更改(自称)とは、簡単に言うとJasper LakeのSoCを搭載したMiniITXマザーボードで自作し、例の計画(ピクシブ百科事典/ニコニコ大百科)をPCに適用して、で末長く大切に使ってきた古いマシンである、24, 25, 34号機をばっさりとリプレースすると計画です。

 3台リプレースできる予算と資金を確保してあるのですが、その一方でJasper Lake (やその親戚のElkhart Lake、それら後継のAlderlake-N)のSoC on MiniITXのマザーボードは一向に出る気配がありません。2021年にFanlessTechの中の人が「キャンセルだって聞いたよ(Twitter)」のあとはもう消息すら不明で、市場に出てくるのは(業務で)一般のPC用としては使い勝手の悪そうなElkhart Lakeか、マザーボードがITXの形をしていないベアボーンかミニPCばっかりです。

 ミニPCは絶対NGではないもの、避けたい気持ちはあります。
 たしかに24号機25号機はShuttleのベアボーンでしたが、スペックや運用、予備パーツ戦略、その他色々考えた結果、私の中ではメーカ独自のベアボーンやNUCよりMini ITX + 小型ケースが(割と暇な)サーバには最良という結論になりました。

 ところで、MiniITXを一気に3台新造出来るだけの金は結構な額になります。
 早々に更改したのは山々ですが、いつまでもJasper LakeのITXマザーボードがリリースされないからと言って、これをそのまま遊ばせておいても無駄です。
 なので、今年からこの予算を投資信託で運用しています。Jasperlakeマザーがリリースされない場合、老朽機での運用は苦しむことになるが、その分儲かる(かもしれない)という算段ですね。

 で、で、その投資信託はS&P500とNASDAQ100のインデックスファンドなんですよねぇ。今年から投下を始めたので平均取得額が高めなんですが…昨日今日で絶賛爆下がり中ですね。NASDAQの方なんか降下幅大きすぎたのか、今日なんて下落お知らせメールがきましたね…。

 まぁ、別にJasper Lake(かElkhartかAlderlak)出ない分にはどのみち更改出来ませんが、回復してもらわないと仮に奇跡的にマザーボードがリリースされても身動きとれなくなるので困りますねぇ。
 損失覚悟で解約売却すること自体はできなくはまぁ無いのですが、円安でパーツの値段もじりじり上がってきてます。そのため基準額上がらず損失出ると予算不足で更改できなくなってしまうので割とヤバげです。