今回置き換えに使用したJ4125というAtomの血を引くGemini Lake RefreshコアのCPUで、J5040の廉価版です。置き換え元のJ4005はJ5005の廉価版ポジションにあたりますが、J4005のJ5005に対する見劣り具合はJ4125のJ5040に対するものよりよりだいぶ大きいのも気になってました。
HDMI Alternate mode自体はある(Impress PC Watch)ようですが、HDMIは必要な芯線数(差動ペア数)多いですし1.4までしか対応していないようで、DP変換でいけるならDP変換で良くね?って感じはしますね。対応が遅れたのが普及していない理由とも言われますが、先に出ててもDPに抜かされたと思います。
USB Power Delivery(PD)も両端Type Cが必須ですが、PDはAlternate modeとは別枠ですのでPD単体ならUSB2.0のType C〜Type CでもOKです。ただ、Type A〜Type Cのコネクタ形状を変換して無理やりUSB Type C〜USB Type Cにしてもダメです。
A2とかB2というはUSB Type Cの端子番号です。高速用・高速レーンとは数Gbps以上の高速なデータ転送レートに対応します。TXnとかRXnはSSTXnとかSSRXn(n=1,2、SSはSuper Speedの略)とも表記されます。ちなみにAlternate modeではRXの差動対でデータを送ったりと元の端子のデータ送受信の方向に関係なく使えます。
要件の2と3にある「Gigabit Ethernet(GbE)が搭載されていて1Gbps(実効950Mbps)が出ること。」と「USB3.0が搭載されててその速度が出ること。」は実は同じ内容で、Type C Dockで1Gbps以上出すには内部的にはUSB3.0以上(〜USB3 Gen2x1、以下USB3.x)で接続されている必要があります。GbEがUSB2.0接続されていると1Gbpsなんて出ませんからね。
先ほど、Type C DockのHDMIはDPからの変換と言いました。DPはHDCPなどの映像本体以外の信号のやりとり用として映像転送とは別に信号線が1レーン分必要です。DPではAUX+/AUX-というピン名でアサインされています。Display port Alternate modeではこれにSBU1/SBU2を割り当てます。
DP自体は最大4レーンですので、4k 60Hzに必要な15.68 [Gbps]をType Cで実現するには下記のどちらかで実現する必要があります。 I. DP1.2で4レーン(5.4Gbps x 4レーン) II. DP1.3 or DP1.4以上で2レーン(8.1Gbps x 2レーン) ※この記事書いた時点ではDisplay Alternate modeで対応するのはDP1.4までです。またUSB4は除きます。
私の要件満たすType C Dockの場合、結論としてはIIです。
Fig.07を見るとType Cの高速4レーンのうち、2レーンをすでにUSB3.xに使われています。残った高速2レーンで4k 60Hzに必要な15.68 [Gbps]を出そうとしたらDP1.3 or DP1.4(8.1 [Gbps] per Lane)が必須です。DP1.2(5.4 [Gbps] per lane)だと2レーンでは10.8Gbpsしか出ないので4k 60Hzを出すには帯域が不足です。
まぁ、そもそもUSBポートを持ってるType C Dockで4k 60Hzを出すには、現状、下記の2通りしかやり方がありません。
Display Port 1.2で、USBポートを非実装か実装してもUSB2.0にして、高速4レーンを全部DPに回す(USB3.0は妥協する)。→Fig06のパターン
Display Port 1.4で、高速4レーンのうち2レーンだけをDisplay Port Alternate modeに回して、残った高速2レーンをUSB3.0に回す。→Fig07のパターン
DP 1.2でも4k 60Hzの出力は可能です。ただ、DP1.2で4k 60Hzを出力しようとすると、高速レーンを4レーン全部使わないと帯域が足りません。そのためType C DockでPC本体側、もしくはType C Dock側のいずれかがDP1.2にしか対応しない場合、Dock側の(Thunderboltがない限りは)USBポートは2.0にしかなりません
3台リプレースできる予算と資金を確保してあるのですが、その一方でJasper Lake (やその親戚のElkhart Lake、それら後継のAlderlake-N)のSoC on MiniITXのマザーボードは一向に出る気配がありません。2021年にFanlessTechの中の人が「キャンセルだって聞いたよ(Twitter)」のあとはもう消息すら不明で、市場に出てくるのは(業務で)一般のPC用としては使い勝手の悪そうなElkhart Lakeか、マザーボードがITXの形をしていないベアボーンかミニPCばっかりです。