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28号機の更改(3期構成→4期構成+各パーツ修繕)

先日…といってもこれもまた結構前なんですが、28号機の更改を終わらせました。28号機は去年の暮れあたりに、Gemini Lake RefreshでJ4125-ITXでASRockJ4105-ITXの置き換え(マザーボード入れ替え)を行い、28号機4期構成となりました。この時はマザーボードのみを取り替えるいつもの手抜き更改をしました。

ただ、ファンと電源は新造時(2015年)から同じものをずっと使っていました。SSDも2期構成からずっと同じです。OSもCentOS7で、建造当時の2015年時点では最新ですが、2024年ではEoSL寸前です。色々と見過ごせないレベルで古いパーツやソフトウェアが跋扈してる状態だったので、これらも全部入れ替えてリフレッシュしました。

28号機の用途は先日書いた39号機の対向側にいるOpenVPNサーバ(L3VPNルータ)です。

マザーボード

28号機4機構成のマザーボードはJ4125-ITXです。

28号機3期ではASRock J4105-ITXでした。ASRock J4105-ITXは16号機3期構成にも搭載されていました。この16号機側のJ4105-ITXは元を辿ると13号機(4期構成)のお下がりなんですが、2022年ごろからHDD LEDの挙動が怪しく、点灯しっぱなしだったり正しい動作したりと非常に気持ち悪く、交換したい気持ち満々でした。

ただ、2023年にもなってJ4105-ITXを新品で買ってくるのはさすがにバカバカしいです(売ってはいました)。そこで、修理したい16号機と同じASRock 4105-ITXを積んでいる28号機3期を更改して、余ったマザボでJ4105-ITXを修理しようとしてできたのがこの28号機4期構成です。

13号機や21号機はJ5040-ITXを積んでるので、28号機もJ4125-ITXの上位版であるJ5040-ITXを入れたかったです。ただ、J5040-ITXは2023年秋の時点では正規販売がなくなっていたので、妥協してJ4125-ITXにしました。

マザーボードだけ入れ替えは2023年の秋にやったのですがその時は、それ以外はそのままでした。

メモリ

メモリはCFD PanramのDDR4 SO-DIMM 8GBx2枚で16GBにしました。3期では4GBx2枚の8GBで、マザーボードを入れ替えて4期構成にした時点ではこれを使い回しましたが、ファンやSSD、電源交換に合わせてメモリも交換して16GB化にしました。

まぁ、ぶっちゃけるまでもなくこのマシンの用途に対して16GBは過剰なんですが、2021年ごろからメモリは最低16GB積むことにしたので16GBです。まぁOSの名前以外はほぼ同じ構成で同じ用途の39号機は32GBなのでそれに比べれば全然控えめです。

CFD Panramなのはまともブランドで安い製品を選んだらこれでした。まぁ個人的にはCFDと言う会社はあんまり好きでは無いのですが、CFD ElixerやCFD Crucial、CFD Panramあたりのメモリに関しては安い割に不良が殆ど無いので楽です。信頼できるんじゃないかなと思います。

ストレージ(SSD)

ストレージはCrucial MX500 120GBから、HP(Hewlett Packard)のS600シリーズのSATA 240GBに置換しました。4期構成にした時はMX500を続投したのですが、ファンや電源、メモリ交換に合わせてSSDも交換しました。3期構成も4期構成も1台構成です。

PCメーカー製(HP)という珍しいSSDです。まぁ、どうせ中身はどっかのOEMでしょうけど、中華製ではないまともなメーカーで、コントローラがSiliconMotion製(SMxxxx)ではなく、TBWが100GB以上ある250GBのSATA SSDで最も安いのはHP S600の240GBでした。

Crucial MX500 120GB自体はまだ全然使えたのですが、中身がCentOS7でアップグレード先が無く、後継で使う予定のAlma LinuxがOpenVPNルータの用途に耐えるかは1ミリも検証してませんでした。さすがにそのまま上書きして入れる勇気は無く、SSDは入れ替えてCentOS7の環境は保持することにしました。

ファン

28号機は実家に置いてあって、夏は50℃近くまで上がる過酷な環境です。そのため、実家に配備しているすべてのマシンに強制空冷ファンが付いて居ます。28号機も同様に強制空冷ファンがついています。

28号機の元のファンは新造時に一緒に買って付けたもので、オウルテック扱いの山洋電気 SF8-S1を2発です。SST-ML06Bは80mmファンが2基と120mmファンが1機付く構成ですが、ファンはすべてオプションで付属品はありません。そのためこの山洋電気のファンも私が新造時に一緒に買ってきて入れました。当初は吸気ファンだったんですが、2期目にしたあたりで天板にフィルタをつけたので、裏返して排気ファンに入れ替えています。

ファンは2発とも内側にグリル(フィンガーガード)をつけています。ケーブル巻き込み防止のためですね。グリルとファンはM4x35mmの皿小頭ビス(黒)とセレート付きフランジナットで固定しています。筐体色と同じでビスが筐体とツライチになるようにしてビスが目立たないようにしてあります。こだわり部分です。ちなみにM4x35mmの皿小頭ビス(黒)はモノタロウで買いました。モノタロウの注文コードは41691377です。ちなみにこの注文コードは普通にモノタロウに出てるので、これを指名買いで買っても私には一銭も一報も入りません。

セレート付きフランジナットは締めると緩みにくくワッシャーも不要で、共回りしにくいため把持用の工具なしでビスを回せるので、ファンを貫通ボルトで止める際のナットとして便利です。

話を戻すと、元のファンはさすが山洋電気製だけあって、温度差の激しい実家で9年近く過ごしても壊れてはいません。ただ、異音は出ていました。交換品を探したところ、新造時に買ったSF8-S1が2024年でもディスコンになっておらず、当時ほぼ同じ値段で買えたので、同一型番の新品で置換しました。

SF8-S1はPWM制御ができない3pinファンなので電圧制御しています。ファンがPMWに対応したところで、どのみちJ4125-ITXのマザーボード側コネクタは3pinなのでどのみち電圧制御でしか運用はできません。

SF8-S1の定格速度は800rpmですか、マザーボード側のファンコンで調整して凡そ400〜500rpmで回してます。ちなみにMBのケースファン側の制御を最低レベルにしたら交換前は回ってたのに交換後のファンは回りませんでした。まぁ、山洋電気のファンは11.4V未満の動作保証は無いのでこれは個体ですね。

28号機はフルパワーでもせいぜい20W程度で、筐体もファンも発熱量に対してはかなり余裕があります。そのため8cmファンをゆるゆる回していれば余裕で排熱出来ます。というか、不必要に高速で回すと埃が早く溜まるので、出来る限り回転速度を落としています。

電源

電源は13/21/33号機と同じに構成にしました。Mini-box picoPSU-120-WI-25 と Meanwell GST90A19-P1Mの構成です。

28号機のSST-ML06BはSFX電源が入るケースで、記憶が怪しいのですが昔はたしか電源付きで売られていました(と思います)。もとの電源はその付属品(たぶん)で、SST-SF300というSilverstone製の80PLUS BronzeのSFX電源(300W)でした。この電源は新造以来一度も交換しておらず、最も故障を懸念していたパーツでした。まぁ懸念しつつも2022年ぐらいから交換の検討してて、19号機同様にFSPあたりのフルプラグインにしたいと思っていました。28号機のようなシンプルな構成で直付けだと使わない電源コード・コネクタが多くて邪魔です。次ぐらいに写真があると思いますが、実際に使わないケーブルは無理やり押し込んでいました。

下の写真はSST-ML06の電源とストレージエリアなんですが、このケースはこの部分の設計がクソで、プラグイン電源は(入る気はしますが)ちょっと収まる自信がありません。写真の電源はSFXの規格サイズ(奥行き100mm)なので特に大型のものを搭載しているわけでは有りません。

28号機の電源・ストレージエリア

28号機は前々からACアダプタ電源化したかったのですが、SFX用DCジャックのホールがあるパネルが2019ぐらいを堺にオリオスペックから取扱いが無くなったので困っていました。仕方ないので、34号機の引退を機に、34号機にから剥がして持って来て、34号機は中国の某有名通販サイトから買った怪しいSFXのアルミグリルのパネルをつけることにしました。

picoPSU-120-WI-25 をSST-ML06B + J4125-ITXにつけると、基板とコネクタ部の屈曲が気にならなくはないですが、まぁそれなりに無難に取付できました。ただ、SST-ML06のSFXパネルとJ4125-ITXのATX24pinコネクタは若干遠いので線はそこそこピン張りになります。J4125-ITXのATX電源コネクタは24pinですが、picoPSU-120-WI-25 はのコネクタは20pinです。しかし、変換せずATX24ピンのコネクタに20ピンだけさしてに挿して使っています。これは13/21/33号機も同じです。なのでマザーボード側のATX24ピンは4ピン分空いています。まぁこの4ピンはPCI/PCIeの電源強化らしいので、何も刺してないに近しい28号機なら問題はありません。

ACアダプタは私の中で採用実績豊かなMeanwell GST90A19-P1Mです。50℃雰囲気での寿命や60W出力を担保できて、最も安いのがこの機種です。DELTAも選択肢にはありましたが、同様の性能で1.5倍ぐらい高い割に温度デグレードが大きいのでMeanwell GST90A19-P1M一択です。

電源を交換したら16W前後食っていたのが14W程度になりました。構成の割には大食いな気もしますが、PCIeの増設カードを積んでるという要素もあるため致し方ないという感じです。

OS

OSは元がCentOS7だったので、Alma Linux 9.4を入れています。インストールはMinimum Installです。ここにEPELリポジトリを追加してOpenVPNをインストールしています。このOpenVPNは先日の39号機同様のディレクトリ分けがあります。

このAlmalinuxはSELinuxを有効にしています。SELinuxはMinimum Installでも有効なんですが、Rocky Linux 9.4ではデフォルトでインストールされるsemanageが、何故かAlmalinuxではデフォルトでインストールされません。まぁ、dnfで普通に入れられますが手間かかって面倒ですね。

39号機的な説明をすると、28号機は21号機のOpenVPNサーバの部分だけ切り出したマシンです。なのでブランチ元の21号機のOSに倣うならUbuntu Server LTSです。実際、28号機は導入当初は本当にUbuntuだったんですが、Intel C1 State Bugを対応している過程でCentOSに入れ替えたのでそのままRHELの流れを汲む方向になりました。

NIC

39号機と同一機種のにtp-linkのNIC(ギガ蟹)が積んであります。tp-linkのNICは新造時からあったものではなく、新造時IntelのNIC(Intel Gigabit CT Desktop Adapter)を積んでいました。しかし、対向側にいる34号機を新造した時に増設NICをtp-linkにしたので、28号機も合わせる形でIntelからtp-linkに交換しました。

Intelからtp-linkにしたのは基板面積や消費電力がIntelより小さかったからです。というか、以前のIntelのNICは2009年ごろに17号機に搭載するつもりで買って6年ほど放置していた余剰品です。2000年代のGbEのNICは今ほど省電力化も進んでいなくて、基板が大きかったです。28号機建造当時は金がなかったのでNICは余り物を入れてましたが、物理サイズと電力消費が嫌で省電力なtp-link(Realtek)にしました。消費電力も若干下がってたと思います。

ちなみにこのIntel Gigabit CT Desktop Adapterは正規流通品を買ったわけではないので偽物かもしれませんが、現物を捨ててしまったので謎です。

コメント

9年近く稼働してて不安要素が多々あった28号機でしたが、ケース以外を総取り替えしたおかげでで不安要素はなくなりました。ただ、所詮はSST-ML06なのでこの役目(OpenVPN)が精々かなって感じですね。まぁ安いケースなので仕方ないんですけどね。

39号機稼働開始(34号機更改リプレース)

24、25号機に続き、34号機も更改しました。39号機となりました。

34号機は紹介のページにもありますが、先代の34号機は元々建造計画がなく、障害対応として急造したマシンです。予算も無かったので暫定構成と割り切り、ケース以外は寄せ集めのパーツで建造しました。暫定と言う割にはどこぞの某元暫定CEO(故人)の如く3年以上運用していましたが、建造当初から更改なりリプレースなりの時期だけは決めていたマシンです。

39号機は37、38号機の異母兄弟機みたいな構成で、ケースとSSDは異なりますが、マザーボード、メモリは同一という構成です。

ケース・電源

ケースはSilverstoneのSST-SG13Bです。

先代の34号機のLian-Li PC-Q21のフォルムは結構気に入っていたのですが、PC-Q21は耐タンパ性がゼロなのが課題でした。色々考えましたが、買い換えたほうが安いのでSST-SG13Bにしました。

SST-SG13Bが高耐タンパかと言うと微妙ですが、ロックされたSST-SG13Bは、ノーガードに近くてツールレスでSSDを持っていけるPC-Q21に比べれば面倒です。

曲がりなりにもケースをロック出来て、PCI/PCIeカードが付けられる小型ケースは少なく、(19号機で採用している)SST-SG05BとSST-SG13Bとその後継機しかありませんでした。19号機と全く同じケースを約15年も経ってまた買うのも芸がありませんし、SST-SG16などは交流電源専用みたいな構成で、ACアダプタ運用がしにくいと感じたので、SST-SG13Bとなりました。

SST-SG13BはATX電源ですが、搭載しているN100DC-ITXはACアダプタ直結なのでそのままだと電源部が開口します。それはまずいのでM8のDCジャックが入るホールが付いた、アルミ製のグリルパネルを入れてあります。この手のDCジャックを取り付けできるパネルは、昔ならOliospecで買えたのですが、今はOliospecでは売ってないので海外から通販で買いました。

電源は37・38号機と同じGST90A19-P1Mです。

先代の34号機は秋月で売ってたGo Forward (GF)社製のGF65I-US1934という19V 3.4Aの65W電源を使っていました。秋月のGF社製の電源はまぁまぁ静かで可もなく不可もなくという感じですが、秋月のDC電源のバレルプラグは殆どが2.1/5.5mmなのでそのままでは2.5mm/5.5mmのバレルジャックでは挿さりません。なので変換アダプタを咬ませていましたが、この変換アダプタが地味に鬱陶しいので37号機や38号機と構成を合わせる形にしました。

ケースは異なりますが37号機、38号機同様ゼロスピンドルのファンレス機です。

マザーボード・メモリ

マザーボードとメモリは37、38号機と全く同じです。N100DC-ITXにCFD Crucialの32GBが入ってます。32GBは用途的には過剰ですが、メモリとしては予算内だったで37号機や38号機と合わせてあります。

CFD Crucialの32GBは37号機や38号機と同じもので、2枚セットの片割れを使っているのも同じです。39号機のもう片割れは予備のマザーボードに実装しています。

SSD

SSDはTeam CX2 256GBの1台構成です。

39号機はデータ(所謂ユーザデータ)をほとんど持っていません。そのため耐久性はあまり考慮せず安価なSSDを採用しています。37号機や38号機はシステム用とデータ用(/home用)の2台のSSDを積んでますが、39号機はシステム用とデータ用のSSDを分けていないので1台構成です。

39号機は元を辿るとCentOS5で運用していた14号機から派生したマシンで、その派生機・後継機である29-30-34号機ではCentOS7が入ってました。そのためその後継の39号機でもRed Hat Enterprise Linux(RHEL)系統のOSであるRocky Linuxを入れています。

RHEL系はOSのメジャーアップグレードが難しく、メジャーアップグレードは事実上SSDを入れ替えて新規インストールでしか対応できません。そのため交換を見据えてSSDは安いものにしました。また、39号機はVPNルータ専用機で他の用途を兼任させるつもりが無いので250GBもあれば必要十分です。先代の34号機も2020年新造ですが、SSDは当時にしてすでに8年落ちの2012年製のIntel 320 シリーズのSSD入れてましたしね。どうでもいいですが、このIntel 320シリーズは160GB、300GB、600GBという今にしてみれば結構珍しいラインナップです(参考リンク)。

OS

OSは前述の通り、Rocky Linux 9.4です。最近はRHELでも個人用途なら16本ぐらいならタダで使用可能です。そのためRHELも少し考えましたが、ライセンス管理が面倒なのでやめました。まぁ正確に言うと管理が面倒というより、管理するものをあまり増やしたく無いのでフリーのRocky Linuxにしました。Alma Linuxと悩みましたが、Alma Linuxは実家の28号機に入れることにしました。

このマシンはOpenVPNとNTPしか動かさないので最小インストールにして、EPELリポジトリからdnfでOpenVPNを入れました。

RHEL8系は知りませんが、RHEL9系のEPELのOpenVPNの設定は/etc配下がserver(/etc/openvpn/server)とclient(/etc/openvpn/client)に分かれています。systemctlで呼ばれるUnit名で、設定ファイルを探すディレクトリが変わります。

openvpn-server@hogehoge.serviceでサービス起動すると、/server(/etc/openvpn/server)の設定ファイル(ここではhogehoge.conf)が読まれ、openvpn-server@hugafuga.clientでサービス起動すると、client(/etc/openvpn/client)側の設定ファイル(ここではfugafuga.conf)が読まれます。

例えば、systemctl openvpn.server@y17でOpenVPNを起動すると、/etc/openvpn/server/y17.confを探しに行くようになってます。同様にsystemctl openvpn-client@y17でOpenVPNを起動すると、/etc/openvpn/client/y17.confを探します。

まぁ、openvpn-server@.serviceで起動しても、openvpn-client@.serviceで起動してても、どちらもUnitファイル内のExecStartでは(引数は若干違うものの)同じ /usr/sbin/openvpn が呼ばれています。なので、実際のOpenVPNの動作(クライアント動作かサーバ動作か)に関わらずをどっちにどっちを入れても動くは動きます。実際、39号機は28号機に繋ぎにいくクライアントモード(tcp-client)で動作していますが、設定ファイルは/etc/openvpn/server/に放り込んであります。

と、言うか、サーバとして動作する設定を/etc/openvpn/server/に入れてopenvpn-serverで起動したからといって、firewallやsemanageをいい感じにやってくれたりすることは一切ありません。なので、個人用なら好きな方に入れてくださいって感じがします。

ちなみに、Alma Linux 9.4のEPELでも同じように分かれています。

NIC

このマシンはPCIeスロットにNICを増設しています。増設NICを刺すために37号機や38号機とは異なったケースを採用しています。

NICはtp-linkのREALTEKチップのやつです。所謂蟹チップです。ギガ蟹です。このNICでNTTのNGN(IPoE)のIPv6網に接続して、実家とLayer 3 VPNを組んでいます。

ギガ蟹使ってるのは消費電力・発熱の問題もありますが、正直蟹でも十分なので蟹にしています。まぁ、蟹がいいと言うより、(私の場合は)Intelに値段なりの価値を見出せなかったというのが正しいです。Intelは良いかもしれませんが、(自宅のブロバン環境がクソなのもあって)私はRealtekで特に困っていません。

蟹NICは上級者には割と不評なんですが、最近のギガ蟹なら殊更に不安定や遅いとかはまずありません。ただ、Realtekのドライバはハズレも有り、ハズレ具合によっては速度以前に動作が不安定だったりします。今時のRealtekのドライバはOSで標準で添付されてたりしますが、特にFreeBSD添付のものはクソでしたね。

あと、RTL8111系やRTL8168系のチップはRHEL7系とかだと何故かRTL8169系のドライバが入ることがあります(参考リンク)。何故かRTL8169系でも8111や8168がそれっぽく動くんですが気持ち悪いです。またドライバが良くても各種オフロード系(gsoやgro等)を正しいチューニングしないとまともに速度出ないことがあります。難しいと言えば難しいチップです。

この辺を勘案すると、上級者に不評な蟹NICですが、運用は自体は上級者向けですね。値段は素人さん向けなんですが、素人さんはポン付けでもまぁまぁ動くIntel製を買われた方が(個人的には)無難だと思います。まぁそういってもIntel製のNICは量販店とかになかなか売ってないんですけどね。

ちなみに、M.2 E Key (iCNV Wi-Fi用のM.2はEキー)から有線Ethernetを生やす怪しいNICを買ったのですが、MACからして怪しかったので使うのをやめました。

チューニング

37号機や38号機同様、電力設定はチューニングしています。チューニングは37号機と同じでPL1=10W, PL2=25W Autoから、PL1=6W, PL2=10W 10sにしています。この状態で44℃前後です。

39号機はファンレスですがケースがスカスカでガバガバなためデフォルトでも実は大きな問題はありません。デフォルトでも温度的には全然問題ないのですが、N100DC-ITXはコイル鳴きが結構喧しく、スカスカガバガバなケースではコイル鳴きの音が結構よく通ります。

コイル鳴きは電流変動が小さい方が音を小さくできるので、発熱よりもコイル鳴き対策で電力設定をチューニングしています。性能的にはもっと制限を厳しくしても大丈夫なんですが、設定値を管理(記憶)したくなので37号機や38号機と同じ設定を入れています。

そのため、ケースは触っても動いていることがわからないぐらいの温度になっています。

建造所感

39号機はOpenVPNを積んだルータ相当のサーバですが、正直OpenVPNを動かすだけなら今や独立したx86のPCである必要を感じないのも事実です。OpenWrtを積んだBBルータやNanoPiなどのSmall Board Computer(SBC)などでも充足出来ると思ってます。

ユニットコスト面でもx86で新造すると200USD前後(30k円)かかるのに対してSBCなら大体170USDぐらいでなので、x86で作るメリットってなんだろうと思わなくはありません。まぁ、もう組んでしまいましたけど。

38号機稼働開始(25号機更改リプレース)

先日(と言いつつ結構経ちますが)、24号機に続き、25号機の後継として38号機の稼働を開始しました。購入後約11年弱、運用自体は2016年からですが、トラブルはありつつも8年近い運用にピリオドを打ちました。

38号機の主な構成

Silverstone SST-ML10のケースにASRock N100DC-ITXを組み込んだものです。メモリはCFD Crucial DDR4-3200の32GBx1です。これにMeanwellのGST90A19-P1Mという19V 90WのACアダプタで電力供給しています。

先日稼働した37号機とはSSDとOSを除き全く同じ構成です。というか、37号機と38号機でハードウェア的に違うのはSSDだけです。それ以外はブザーやSATAケーブル、後から付けた縦置用のゴム脚に至るまで同一構成です。

置き換え元となる25号機(と24号機と34号機)はすべてゼロスピンドル機で、静粛性と耐衝撃性の向上、並びに通常運用中のメンテナスフリー化を志向したマシンです。38号機もこの志向を引き継ぎいでゼロスピンドル機としました。Twitterでは120mmファンを搭載しようかと呟いていたのはこの38号機のことなんですが、メンテナンスフリー化は捨てがたいのでゼロスピンドルで組みました。

ケース・電源

ケースは前述の通りSilverstone SST-ML10です。前述の通り37号機と全く同じです。シリアル番号までほぼ同じで、最後の桁以外は全く同じです。37号機と同じ構成ですが、37号機側が流用で38号機側オリジナルです。

プラットフォームはMini-ITXを採用し、電源もボードタイプやpicoPSUいずれでも行けるように配慮した構成にしてあります。これは、故障が頻発してマザーボードの予備をすべて失っても最悪その時に売ってるMini-ITXのマザーボードを使えるようにしてあります。また、2.5インチSSDを2台搭載出来る構成にしてあります。

電源は実家で稼働実績にあったMeanwell社のGST90A19-P1Mです。37号機と同一機種で、37号機同様にDigikeyで買いました。Efficiency Level VI対応です。

カタログスペック上の効率は90%です。Efficiency Level VIが嘘でないなら、90Wクラスの電源であれば少なくとも87%はある筈です。最近流行りのGaNトランジスタを使用しているかは不明です。GaNトランジスタの採用を謳ってる機種と比べると90Wという容量の割に嵩張ります。ただ、表面積が大きい方が放熱、つまり寿命面では有利です。まぁ、とは言え、13W程度の消費電力でも電源が入っていることがわかる程度には発熱します。

GST90A19-P1Mはファンレスですが本体に青色LEDの通電ランプがあり、これがなかなかの光量で光ります。夜中は目に刺さるのでLightDimの減光用のシールを2枚重ねで貼っています。

マザーボード・メモリ

マザーボードはN100DC-ITXです。マザーボードも37号機とは製造番号が一つ違いのものを使用しています。ちなみに製造番号は隣り合ってましたが、MACアドレスは第5 WORDは同一だったものの、第6 WORDは隣り合っていませんでした。

37号機でも買いた通り、マザボはデスクトップ用のDDR4-DIMMを1枚だけしか搭載出来ないので、CFD Crucialの2枚セット品を買ってそのうちの片割れを使っています。もう片割れは37号機で使っています。

SSD

SSDは2台構成なのは37号機と同一ですが、2台とも37号機とは異なるモデルを搭載しています。

38号機のSSDはTranscendのSSD470K (以下、SSD470K)というシリーズの1TBと250GBを採用しました。これは産業用で、書き込み寿命が250GBモデルは591TBW (推定)、1TBモデルでは2,365TBW (推定)ある製品です。(DPDW2.16@3年から計算)。

コンシューマー用のTBWは250GBのSSDで100〜200TBW程度、1TBだと400〜600TBW程度で、DPDW@3年の値は大体0.7前後ぐらいが相場なのでコンシューマ用と比べると2.5倍以上の書き込み耐性があります(2024年現在)。

Transcendの産業用のSATA SSDには他にSSD422Kというのがあり、こちらも検討はしました。比較は下記です。SSD422KはDPDWが2.6とちょっと高いぐらいですが、アクティブ時の消費電力が470Kの約1.5倍、値段が470Kのざっくり2〜2.5倍と色々コストが高いので470Kの方を買うことにしました。ちなみにSSD470Kは112層の3D-NAND構成ですが、SSD422Kは2D-MLC NAND構成みたいです。その所為か定かではありませんがカタログ上のIOPSはSSD422Kの方が低いです。

Transcend SSD470Kの消費電力、TBW
https://jp.transcend-info.com/embedded/product/embedded-ssd-solutions/ssd470k-ssd470k-i (2024.06.09閲覧)
Transcend SSD422の消費電力、TBW
※2D-MLCとTBWの多さが絶対的正義ではないならSSD470Kの方がお買い得。
https://us.transcend-info.com/embedded/product/embedded-ssd-solutions/ssd422k (2024.06.09閲覧)

SSD470KもSSD422Kも産業用ですが、普通にAmazon上でAmazon販売で売ってるので買えます。ただ、レビュー見るとサポートソフトウェアとかを手に入れるには大口クライアントにならないとダメみたいなことが書かれています。

SSD470Kのアイドル消費電力1.35Wは、昨今のSSDとしては大食いです。昨今のコンシューマー用SSDのアイドル時の消費電力は数百mW、製品によっては100mWを切ってます。そんな中470Kはカタログで1.3Wあり、実機でもPD+20VトリガーケーブルをAVHzYのCT-3経由で見た感じ、だいたいカタログ値通りの電力を消費しています。

正直なところ、このSSD470Kは過剰スペックだと思ってます。欲しかったのはSamsung 860 ProぐらいのスペックのTBW(250GBで300TB前後)なので、250GBで600TBWに迫るTBWは明らかに過剰です。

ただ、860/870系統のSamsungのPro版SATA SSDは検討時には既にディスコンのようで、Amazonでの価格が異様に高く(50K超)、2台で10年間都合1.3W×2=2.6W分の電気代を垂れ流してもまだSSD470Kの方が安いのでSSD470Kにしました。購入費用は2台で約35k円でした。

ちなみに、先代の25号機のSSDは2台で8万円近くしました(※)。そのため2013年の導入当初は更改時も使い回す気満々でした。ただ、25号機に更改するとき、UEFI+GPTにしたつもりが後からBIOS+GPTでOSが入ってたらしいことに気づいたのと、25号機で採用したSSDであるCFD HG6dもIntel 335もTBWが不明(非開示)で残余寿命がわからないので続投しないことにしました。

容量は25号機の頃は512GB+240GBでしたが、38号機では13号機と構成を合わせる形で1TB+250GBにしました。

OS

OSは、先先代(15号機)、先代(25号機)に続きOSはFreeBSD(amd64)です。今回の更改はこのFreeBSDのインストール・運用がなかなか安定せず難航しました。

Intel N100はEコアだけ積まれてる12世代プロセッサですが、どうもFreeBSD14はEコアしか無いのは想定外なのか、デフォルトで起動するとファイルシステム(UFS)操作でクラッシュします。mysql80-serverを/var/db/mysqlを削除してクリーンスタートすると割と簡単に再現します。

なかなか原因と対策が突き止められなくて、IOが怪しいところまではわかったんですがそこからCPU不良を疑ってマザボ変えてみたり、SSD変えてみたり、M.2 PCIeをSATAに変換する基板入れてみたりしても再現してました。

クラッシュする瞬間をiPhoneでスロー撮影したりして色々調べていたら、FreeBSDのMLで/boot/loader.confに「vm.pmap.pcid_enabled=0」を入れると直るかも的な記事をここ(https://www.mail-archive.com/users-jp@freebsd.org/msg00203.html)で見つけました。それで実際に/boot/loader.confに「vm.pmap.pcid_enabled=0」を入れたら嘘のように安定したので、やっと移行作業が出来るようになりました。

このN100DC-ITXはNICにRealtek RTL8111Eが搭載されています。FreeBSD標準添付のドライバがクソなのかなんなのかわかりませんが、SCPするだけでもNICがよくこけるのでRealtekの公式ドライバらしいrealtek-re-kmodのpkgを入れてあります。

移行

移行は15号機や25号機でもやってきたように、新しいマシンを傍らに置いて、ルータでNAPTを止めての移行作業です。1発勝負です。終わった時に脳汁(ドーパミン)が最も出るやり方です。まぁ失敗して戻したことは無いのですが、どのマシンの移行でもトラブルが無かったことも皆無という残念な方法です。

移行で面倒なのは設定ファイルのレビューですね。実はOSやソフトウェアは安定版ではありますが最新版を追ってて、リリース用ML等で新バージョンのアナウンスが出ると速攻で入れてます。しかし、バイナリとは対照的に設定ファイルはインストールしたときからほとんど変わっていません。

現に動いている設定ファイルなので、次のマシンに持っていても動きます(たまに動きませんが…)。ただ、長年使った設定ファイルと最新の設定ファイルを比較すると、今設定していない値に値が定義されていたり、わざわざ定義している値のデフォルト値等が変わって定義が不要になったり、定義している値が非推奨な値になっていることがちょくちょくあります。

このため、更改時には旧設定と新設定を見比べて、古い設定ファイルから新しい設定ファイルに適切に設定を移行する必要があるのですが、これがなかなか面倒な作業でした。ちなみに、今回の一番設定が違ってたのがmysql.cnfでした。FreeBSD10.0で入れたMySQL5.6の設定ファイルでもMySQL8.0でも動くのかーとは思いましたが、結構Deprecatedな設定があったのでそのまま持っていくのは流石にやめて、サンプルConfigから作り直しました。

チューニング

37号機同様、電力設定をチューニングしています。チューニングは37号機と同じでPL1=10W, PL2=25W Autoから、PL1=6W, PL2=10W 10sにしています。38号機はPL2=15W 20sぐらいは欲しいなぁと言うのが正直なところです。ただ、37号機と比べるとSSDの発熱が大きく、安定的に性能を出せる電力はこの辺りかなーって感じで37号機と同じPL1=6W, PL2=10W 10sにしています。

逆に言うと、37号機は38号機よりSSDの発熱が低いのに38号機と同じ設定なので、もっと上げられると言えます。ただ、面倒なので合わせています。

この設定でFreeBSD 14.0で、常温下に縦置きで概ね63〜67℃程度を推移しています。SSDの発熱のせいか37号機よりも10℃ほど高い温度になっています。ただ、先代の25号機もこんな感じの温度だったので、マザーボードなどでハズレ個体引いていなければそうそう壊れることも無いと思っています。

37号機稼働開始(24号機更改リプレース)

先日、24号機(Shuttle XS35V3L)の後継として、37号機の稼働を開始し、24号機の運用を停止しました。24号機は購入後10年、2016年から7年以上運用していましたが、その歴史にピリオドを打ちました。

主要な構成

37号機の主要構成はこちらです。

SilverStone SST-ML10のケースにASRock N100DC-ITXを組み込んだものです。メモリはCFD Crucial DDR4-3200 32GBx1です。N100DC-ITXはSO-DIMM対応ではないので、普通のDDR4メモリです。これにMeanwell社のGST90A19-P1MというACアダプタを繋いでいるのが主要部分となります。

この主要な構成は25号機の後継となる38号機(予定)も全く同じですし、34号機の後継となる39号機(予定)もケース・SSD以外は同じです。

置き換え元の24号機(と25号機と34号機)はすべてゼロスピンドル機です。ゼロスピンドルによる高い静粛性、機器清掃作業の排除(メンテナンスフリー化)、地震等による転倒・落下に対する耐衝撃性の向上を志向したマシンです。

37号機もこの志向を引き継ぎいでゼロスピンドル機としました。Twitterでは120mmファンを搭載しようかと呟いてましたが、メンテナンスフリー化はやはり捨てがたいでゼロスピンドルで組みました。

ケース・電源

ケースは前述の通りSilverstone SST-ML10です。近年のITXケースは、拡張スロット(PCI/PCIe)使用が前提となっています。そのため、ミニタワーみたいな近いケースか、ShuttleやSST-SGシリーズのようなキューブ型、小型化を追求したものであればThin-ITXかDeskminiのようなMini-STXだったりが主流になっています。そのためSilverstone SST-ML10のようなMini-ITXで、かつMorexの血を引く基盤型電源を使用可能なケースは、現代においては希少です。

ファンは50mm x3と、120mm or 140mm x1のファンを設置できますが、前述のようにゼロスピンドルにしたかったため結局は設置しませんでした。そもそもゼロスピンドルでなくても50mmは入手性の問題、120mmはSSDを積むとクリアランスの問題が厳しいので搭載は難しかったです。

電源は実家で稼働実績にあったMeanwell社のGST90A19-P1Mです。Digikeyで買いました。実家で動いているものは1USD≒100JPY前後の時代だったので3,500円程度で買えましたが、昨今の円安で5,500円しました。

この電源、一般的なACアダプタと比較すると安くはないです。しかし、50℃以上の雰囲気でも稼働できて、PSEが付いてて、稼働温度範囲が広く、最高雰囲気温度下(70℃)でも60W出力を担保できる電源がそれなりの値段で1個から買える。ということを考えれば十分に安いとも言えるな選択です。ちなみにMeanwellは台湾の企業ですが、電源本体は中国製です。

マザーボード/メモリ

マザボはN100DC-ITXで、SATAが2ポートあるモデルにしました。m.2のNVMeにしたい気持ちはあるのですが、障害時にデータを抜くのはSATAの方が楽なので今回もSATAです。

N100DC-ITXがJ5040などの従来のASRock製のSoC ITXマザーと大きく異なるのは電源・CPUと、メモリがSO-DIMMでないこと、メモリスロットが1つしかないこと、SATAが2ポートしかない(ASmediaのSATAコントローラがないこと)があげられます。

あと、実用上は問題ないのですが、N100DC-ITXはBoot Beep(起動時のピッの音)音がやたらと汚いです。また、SATA電源はマザボから供給されるのですが、この供給される電圧は12Vと5Vレールのみで3.3Vレールはありません。まぁ、今時SATA3.3V使うストレージはレアですが、ストレージ以外の電源として使う場合は注意が必要です。

このマザボはデスクトップ用のDDR4-DIMMを1枚だけしか搭載出来ません。そのためCFD CrucialのDDR4-2400の32GB/枚のモジュールを買ってきて積みました。N100はIntel ArkではMax 16GBと書かれてますが、ASrock N100DC-ITXの仕様上は32GBと書かれていますし、書いてある通り、32GBモジュールを認識します。

ただ、N100DC-ITXのメモリスロットは1つしかないので(※)、メモリーインターリーブアクセスの機構(≒デュアルチャンネル)は物理的にありません。従って、メモリ不足でないなら無駄に増やしてもパフォーマンス向上は見込めません。私はDDR4はオワコン寸前で、今後は今ほどは安く買えなくなると思ったのでほぼ使わないであろう32GBにしました。私はメモリ積みたがり星人なので大量に詰んでますが、過剰かと言えば一般的には過剰だと思います。

※メモリスロットが1つ: そもそもN100自体のメモリチャネルが1chしかありません。

メモリはマシン4台分を安価に調達するため、CFD Crucialの2枚セット品を買ってそのうちの片割れを使っています。

CFD Crucialは安価ですが、ロウハンマー耐性はちゃんとありました。

SSD

SSDは先代の24号機からそのまま載せ替えました。先代の24号機の導入当初はCentOS6を入れて使っていました。このCentOS6が2020年11月にEoSLを迎えた際、24号機の更改機を新造した暁には新造機ににそのまま載せ替える前提で、24号機のSSDは新しいSSDに交換して、OSをUbuntu LTSに切り替えました。こう言った経緯があったので(だいぶ期間は空きましたが)SSDは載せ替えとしました。

まぁ、これはCentOS6からCentOS7への所謂上書きインストールが結構手間で難しい上に、頑張っても約3年半でCentOS7のEoSLが来るからと言うのもあるんですが、CFDのHG5dというTBW不明のSSDで(すでにGPT+UEFIの時代に)GPT+MBR+BIOSブートしてたのも大きい理由です。

SSD載せ替え後はNICの名前がenpからensに変わりましたが、/etc/netplanの設定ファイルのインターフェース名の名前の一部をenpからensに変えたらIPをそのまま引き継いで普通に動作しました。ついでに、netplanのgatewayキーワードは2020年時点は問題ありませんでしたが、2023年ではdepricateらしいので、routeに直しておきました。

チューニング

電力設定はチューニングしていて、PL1=10W, PL2=25W Autoから、PL1=6W, PL2=10W 10sにしています。デフォルトでもシャットダウンするとかはありませんが、更改前でも性能不足はなく、そんなに熱くしても寿命に響くだけなので下げてあります。

この設定でUbuntu 22.04 LTSで常温下で概ね50〜55℃程度を推移しています。

37号機はハズレのマザーボードを引いていなければそれなりの寿命が期待できると踏んでいます。

ASRock N100DC-ITX

023年の12月の暮れにAlderlake NのSoCオンボードマザーのASRock N100DC-ITX (ASRock公式サイト)を買いました。24、25、34号機の更改のためです。予備含め4枚買いました。

買った理由ですが、2019年頃に立てたJasper/Elkhartlake更改という計画を実行に移すためです。計画名と買ってるマザーボードが若干違う気がしますが、前述の通りCeaderView/Braswell機である24、25、34号機を更改(リプレース)するための計画です。

元々は名前の通りの計画で、自宅に跋扈しているCeaderViewやBraswell等の老朽機をJasper lakeかElkhart Lakeで一掃する計画でした。2020年頃には予算・資金も確保し、準備万端となりました。しかし予算は付いたもののパーツ調達フェーズで3年ぐらい計画が止まっていました。計画の要となるコンシューマー向けの Jasperlake や Elkhartlake を搭載したMiniITXマザーボードが一向に出て来ない状態が延々と続いてました。

出ないものは仕方ないのですし、Gemini Lakeはありましたが、Gemini Lake系統は実家で使ってて、できればGemini Lake一色には染めるのは避けたかったので、自宅ではD2550とかN3050という2010年代前半の古い機材で運用を続けていました。D2550の方はShuttleのベアボーン機で予備機を持っていたのですが、2020年に25号機が壊れてしまい、予備機の在庫がなくなったためまさに薄氷を踏むような運用でした。

そんな中、2023年中頃にようやくAlderlake-NでITX SoCが出ました。これがASRockのN100DC-ITXです。そして、更改のために購入したのがこのAlderlake Nのマザーボードです。

マザーボードの要件は下記の通りで、若干妥協はありますが、N100DC-ITXは概ね要件を満たしていため購入することにしました。

  • Mini-ITXであること。
  • ファンレスであること。
  • SATAが2本あること。
  • PCI EXpressスロットがあること。
  • ATX20ピン、または24ピンで給電されること。

要件1: Mini-ITXであること。

更改対象の24号機と25号機はShuttleの超小型ベアボーンどと言うプロプライエタリなプラットフォーム(以下、プロプラPF)でした。プロプラPFのベアボーンは電源とマザーボードと筐体が一式でセットになっています。

このお陰でMiniITXより小型化出来るのですが、調達も一式単位になるので予備機材が高く付きます。しかもマザーボードだけ入れ替えて更改みたいな芸当ができないので、壊れると一式交換となります。一式交換しかできないのでプロプラPFはメーカで一式がディスコンになると立ち行かなくなるデメリットがあります。

と言うか、実際に立ち行かなくなったので、オープンプラットフォーム(以下、オープンPF)であるMiniITXで建造することにしました。Mini-ITXの規格自体は(提唱したメーカは消えそうな勢いですが)、Intel/AMDも支持はしているのでここ10年ぐらいでは消えないかと思います。なので最悪はその辺のIntelなりAMDのデスクトップマザーを入れれば運用できます。

ここまでがプロプラPFからオープンPFに移った理由で、Mini-ITXにしたのは単純に置き場や運用の問題です。更改対象機はどれも専用機で、構成もシンプルで、運用期間中に増設も無ければ、高いエアフローが求められるマシンでもありません。

そして、私の家は狭く、大型マシンがメンテしやすい環境ではありません。そういう状況で大型機を買っても無駄で、邪魔で、メンテナンスがしにくいだけです。そう言う理由でMini-ITXにしました。

要件2: ファンレスであること。

ファンレスが実は超重要でした。

2010年以降の機材で、運用予定寿命が10年未満なら、埃の溜まる期間orファンの寿命<運用寿命です。一方、ファン以外のパーツは概ね、パーツの寿命>運用寿命です。つまり、ファンレスにすればマシンの運用寿命が来るまでほぼメンテフリーになり、PCの物理メンテナンスから解放されるのが大きな理由です。

強制空冷はどうしても埃が入ってきます。そして埃は最も通気しやすい部位の、抵抗の大きいに溜まってやがて詰まり、次に通気しやすい部分の抵抗の大きい部分に溜まってどんどん詰まっていきます。つまり、定期的に清掃が必要になります。吸排気を調整しても、セミファンレスでない限り大体3年ぐらいで詰まってきて内部温度が上がり、騒音レベルも上がってきます。

運用寿命が10年なら3年に1回は運用断を伴う掃除が必要です。私は台数が多いのでメンテそのものが面倒ですし、清掃期間の管理も面倒です。清掃せずに済むならやりたくないです。

そして、電動ファンはPCパーツの中では寿命が短いパーツで、これもまた、正しく動いているかの定期的な確認と、NGの際はサーバを停止して交換が必要になる面倒なパーツです。加えて電動ファンは小型のもの(〜60mm)は同一シリーズでもカタログスペックの時点で大型のもの(120mm〜)より寿命が短く、体感的にも故障しやすい傾向があります。

こんな感じで、24、25、34号機はファンレスにしたので更改後もファンレスにすることにしました。

要件3: SATAが2本あること。

SATAは結構重要で、OSが起動しない状況でデータを引き抜いたり移す際はNVMeよりSATAの方が色々便利なのでSATAにしています。

SATAよりNVMe m.2のが断然高速なんですが、SATA以外の部分が同じなら、その性能差が如実に出るような使い方をしない限り、スペック差ほど使用感に差は無いです。阿部寛のホームページを1Mbpsでも見てめ10Gbpsの回線で見ても1万倍の差を感じないのと同じです。

実際、私のマシンだと32号機のMacや36号機のhpのノートPCのSSDはNVMe/PCIeで、最も使う23号機はSATAなんですが、速度差を実感する用途は殆ど無く、いつの間にかSATAに変わっていてもしばらく気づかないと思います。。

要件4: PCI Express (PCIe)スロットがあること。

PCIeスロットはVPNルータの34号機の更改でNIC増設をするためPCIeスロットは必須です。

まぁ、PCIeスロット無くてもPCIeが生えてるM Key のM.2やE Key M.2のiCNVioからEthernetを生やす怪しい基板はあるにはあります。まぁ実際に買ってみたんですが、怪しいMACで、積んでる蟹チップすら正規品か怪しいぐらいです。

まぁ、怪しい云々の前にPCIeのEthernetカードを買う方が普通に安いですし、iCNVioもE Key M.2用の怪しいEthernetもなんていつまであるかわからないので、普通のPCI Expressスロットにしました。

ちなみにNICは蟹(Realtek)にしました。Realtekは Checksum オフロード関係がダメダメだったりしますが、ethtoolでOFFにしてしまえば終わりですし、初期コストも消費電力も低いです。また、N3050すら持て余しているマシンでやっていたことを、Skylakeクラスの性能が出るという謳い文句のCPU詰んだ専用機にやらせるのでCPU負荷が少々高くても特に気にならないので蟹で妥協です。

というか、対向にある実家の28号機なんてIntelから蟹で置き換えてますしね。

要件5: ATX電源

これは妥協しました。

最後のATX電源だけは待ってても出るアテもなく、妥協しても(4台ぐらいまとめ買いした)picoPSUの出番がなくなるだけで、それ以外はデメリットが無いので妥協としました。

ACアダプタはどうせ買いますし、picoPSUは次の更改で必要になれば使えばいいですからね。

これらを使って更改をしていきます。まぁ書いてる時点ではほぼ終わってるんですけどね。

33号機2期構成 ASRock J4125-ITX @ Morex Cubid 2799

先日、33号機の更改作業を行ってきました。2期構成となりました。作業としては新造時に入れたGemini LakeのマザボであるASUS J4005I-Cを、Gemini Lake Refreshの積んだASRock J4125-ITXへと置き換えました。

33号機はコロナの初期にあたる2020年6月に新造したマシンです。当時はGemini LakeのASRock J4105-ITXが家の中で跋扈していたので、一応製造元分散としてASUS J4005I-Cで自作したものです。

33号機のケースはMorex社のCubid 2977というケースを使っています。Morexのケースはここ10年ぐらいは日本ではまともに取扱が無いようで、2000年ぐらい以降生まれの方には馴染みのないメーカーだと思います。今でこそMiniITXはメジャーな自作プラットフォームですが、2000年代初頭のMiniITXは全然マイナーな規格で、VIA Technologiesというx86互換CPUメーカー(※)の独自規格みたいな時代がありました。

※VIA Technologies自体は2024年現在でも存続してますが、x86互換CPUメーカーとしてのVIAは今の兆芯がそれに該当します。

そんなマイナーな時代のMiniITXのケース事情はMorexのケース以外はほぼ選択肢がありません、みたいな状態で、初期のITXプラットフォームではITXといえばMorexみたいなポジションに近いケースメーカーでした。と言っても、MiniITX自体はMicroATXケースと互換性がありましたし、MiniITXはケースとセットでベアボーンとして売られていたことが多かったような気がするので、当時でもMorexが有名かというと疑問ですが。

しかし、このMorexのケースでよく採用されていた12VからATXを生成する電源基板は、基板サイズとビス位置がACアダプタ用の電源基板のデファンクトスタンダードみたいになってて、SST-ML10の電源基板もこれに準じた大きさやビス位置になっています。(ただ、Morexが主導したのかは存じません)

なお、正しくはMorex Information社で、コネクタハウジングの名門であるMolex社とは別の会社です。

33号機と13号機21号機の上にスタック(平積み)して置いています。下に置いている13/21号機も古いMorex のケースで、これらの上にスタックしたいがためにわざわざ在庫のあるEU圏から輸入してきました。2020年当時でも売っていること自体ある意味奇跡だと思いました。

このCubid 26xx/27xxシリーズ、個人的には好きなんですが、PCのケースとしては前時代的な設計です。フロントパネルは今だにUSB2.0のみで、IEEE1394(FireWire)がフロンパネルにあったり、ライザーは(Expressではない)PCIしか無いなど、20年間から何一つ進化していない感が見て取れます。フロントパネルオーディオにAC97のコネクタが残っているのも時代を感じますね(HD Audioのコネクタもちゃんとあります)。理由がない限り、今時このケースで新造するのはお勧めできません。

電源はACアダプタも付属していて、2000年代によくあった12VのACアダプタ+電源ボード式です。付属の電源は60Wです。ただ、電源基板は瞬間に取り外し、新造時から13号機や21号機と同じMeanwell GST90A19-P1M + Mini-Box picoPSU-120-WI-25の構成にしています。これは2期構成でも続投です。

と、まぁ、こんな感じで自作したまではいいんですが、構成がよく似ている13号機、21号機と比べると消費電力がどうチューニングしても4W程度高い状態が続いていて、正直初期構成で使い続けるのも微妙だなーと思っていたのが更改理由です。

今回置き換えに使用したJ4125というAtomの血を引くGemini Lake RefreshコアのCPUで、J5040の廉価版です。置き換え元のJ4005はJ5005の廉価版ポジションにあたりますが、J4005のJ5005に対する見劣り具合はJ4125のJ5040に対するものよりよりだいぶ大きいのも気になってました。

J4125はJ5040とCPU部分を比べるとコア数やスレッド数、ベースクロックは同じで、Turboboostのシングルコアの吹き上がり方が違う程度でした。が、J4005はコア数まで違います。この差は結構気になるところでした。

実作業は私が度々やってマザボ一式(マザボ+CPU+メモリ一式)を置き換えてそれ以外のパーツは続投のやり方です。このやり方はSSDをそのまま引き継ぐのでOS回りの作業が少なくて楽なんですが、更改した時の感動は薄いですね。ドーパミンが出ません。。

このケース、PCIeにブラケットを付けるとブラケットの先端がマザーボードのオーディオコネクタにつっかえてマザーボードを引き出せないので、地味に面倒です。PCIeは何も実装してません(※)が、40mmファンを無理やり付けてて、エアフロー確保のためにグリルタイプのスカスカのスロットカバーをつけています。ちなみにケース、PCI用のライザーカードは付属しますが、PCIe用は無いのでPCIeカードの実装はあまり現実的ではありません。

ファンは40mmが2つ、60mmが1つついてて、いずれも10mm厚です。すべてアイネックス社のOMEGA TYPHOONシリーズを使ってます。劣化傾向が見られないので続投にしました。Duroベアリングを採用するアイネックスのGlobe fanは60mm以下に限って言うと耐久性と静粛性を高いバランスで備えていると思います。まぁSanyoやNoctuaと比較すると劣るのかも知れませんが、少なくとも同一価格帯のファンの中では頭ひとつ飛び抜けた耐久性があると思います。

まぁ、これはアイネックスでもGlobe FanのCFZ-4010とかCFZ-6010とかに言えることで、同社が出してるCFY-40SAなんかは全然持ちませんでしたね。CFY-40SAは値段の割に2BB軸受ということで、耐久性に期待を込めて13号機に付いてたことがあったんですが、スリーブと見紛うぐらい勢いでそそくさと逝き、私の予備品在庫から消えて行きました。CFY-40SAの方が100円ぐらい安いですが、お値段以上に寿命の差があるので、耐久性が欲しい場合は手を出してはダメです。

電源も前述のとおり続投です。MeanwellのMTBF 38万9000時間は最強です。まぁこれ、25℃雰囲気下でのスペックなので、アレニウス則下だと55℃なら48,000時間程度なんですけどね。まぁ、実家の断熱は無いのと同義で、5℃とかも時も普通にあるので、実質プラマイゼロで普通に20年程度は期待できるのではないかなと思ってます。

SSDはSamsung 840 EVOとTranscendのSSD370です。このTranscend 370はググっても370Sばっかりヒットするんですが、370と370Sとは別物で、370はdevsleep非対応でTBWも370Sと比べると若干少なめです。まぁ、devsleep非対応なこともTBWが若干少なめもS.M.A.R.Tの稼働時間が再起動のたびにリセットされることに比べれば実に些細なことです。Transcendの稼働時間は起動からの時間だ、と思いたいところですが、これ、同じTranscend 370ですらファームが違うと普通に総稼働時間だったりするのでマジで意味不明です。早く置き換えたいです。

J4005I-CもJ4125-ITXもEthernetはRealtekのものなので、デバイスシンボルは/dev/re0から変更がありませんでした。よって、FreeBSD14では何も設定することなくIP/Default Gatewayなどを引き継いて運用を再開することができました。

何年運用するかはわかりませんが、次の更改か、運用終了時に電源を切るまでまで問題なく動いて欲しいものです。

Silverstone SST-ML10B

購入後10年が経ち、老朽化著しい24、25号機の後継機用として買ったのがこのケースです。Silverstone製のSST-ML10Bです。AntecのISK-110も候補でしたが、ISK-110は電源がこのケースの専用基板で単体販売はされていないため、SST-ML10Bを選びました。

ISK-110用の代替電源としてデザインしてみたPicoPSU用変換基板

実は上にあるように、ISK-110の予備(代替電源)を、PicoPSU使う前提で変換基板をKiCADでデザインしたことがあります。しかし、左上のDCジャック部分からPicoPSUに電源供給するための部分が難しく、高い電流値を担保可能な配線幅を確保するのは基板スペース、私の技能は困難でした。

そんな感じで色々考えた結果、SST-ML10Bで妥協になりました。まぁ、妥協というか、GeminiLake以降のマトモなSoC iTXマザボの販売を待ってたらISK-110は終売になってしまって、SST-ML10Bを選ぶしかなかったというのが実際のところです。

Silverstone社のSST-ML10のマニュアル
V1のVESAマウンタ
https://www.silverstonetek.com/upload/downloads/Manual/case/Multi-MILO10-Manual.pdf より引用
V2のVESAマウンタ
https://www.silverstonetek.com/upload/downloads/Manual/case/Multi-MILO10-Manual-V2.pdf より引用

SST-ML10はAmazonには末尾B付き(SST-ML10B)とB無し(SST-ML10)のモデルがありますがその差は謎です。またマニュアルを見るとRevisionがあって、V1とV2があるらしいです。私のは箱にはV2.2と書かれていました。V1とV2はVESAマウンタの構造に違いがあります。コスト面の改良って感じですね。V2のケース裏側の中央線付近にはV1であったネジ穴はなくなっているので、V1とV2でマウンタの使い回しは無理そうです。このバージョンは外箱のラベルに書かれています。マイナーバージョン間の差は謎です。

ケースは購入時はElevatedの状態で入ってて、Nov-Elevated用のフロントパネルと上面蓋が入っています。。Non-Elevatedにしたい場合はフロントパネルと(横置き視点での)トップパネルが必要です。

フロントパネル

フロントパネルは如何にも金属のヘアライン加工に見えますが、実際には樹脂のヘアライン加工です。手の込んだコストカットですね。

LEDはPWR LEDもHDD LEDも白です。ギラギラとした下品な感じは無く、上品な光り方です。まぁ、単にN100DC-ITXのLEDのドライブ性能が低いだけな可能性もありますが。

LEDは電源とHDDで形状も変えてあって色覚特性の異なる人にも配慮されてる気がします。私自身は正常色覚ですが、こういうユニバーサルデザインは好感が持てます。まぁ、LED表示の形状を変えてて同じ白LED使うぐらいだったら電源とHDD LEDの色は緑LEDと赤LEDでも別に良くね?って感じもします。

LEDはリード付の砲弾型LEDや角型LEDが所定の場所に頭からブッ刺してある構造ではなく、ボタンも含めて基板に実装されたのがフロントパネルに取付されている構造なのでポン付け交換は出来ません。

フロントのボタンは電源ボタンのみです。リセットボタンはありません。フロントパネル向けのコードがリボン状なのは好感が持てます。

フロントUSBはType AのUSBが2ポートで、どのGenまで対応しているかは知りませんが、一応2つともUSB3対応です。マザーボード側は普通の19ピンです。ケース内部はフラットケーブルです。狭いケースなのでフラットケーブルは好感が持てます。

SilverstoneのSST-ML10の商品紹介ページ

このUSBコネクタ、USBコネクタの上側がケース外側(平置きした時に向かって左側)を向いています。つまり、上記のように商品紹介のように電源ボタンを上側にして縦置きすると、USBコネクタを逆さにしないと刺さない、というなかなか設計センスを疑う構造です。見にくいですが、上記画像でも見にくいですが、USBコネクタが上下逆になっています。USBコネクタはメスの場合は凹んでる部分が下になれば上下正しいですが、商品紹介の縦置きは凹部分が上になっているのでコネクタとしては上下逆です

まぁ、Silverstoneのケースは過去3つ使ってますが、どのケースも何故この設計で良しとしたのかよくわからん要素が1つぐらいはあるので気にしたら負けだと思います。どのケースもロングセラーなのできっと正義なんでしょう。

まぁ、USBがこれだからというわけではありませんが、縦置きする場合で、N100DC-ITXみたいにメモリをノース側に実装するMBをファンレスで搭載する場合、電源ボタンを下側にくるように設置するとメモリがCPUの熱に炙られません。ただ、50mmファンはケースの向かって右側につけますので、つける場合は商品紹介みたいに置いた方がいいです。

マニュアル

取扱説明書は同梱されてません。詳しくはWebで、って奴です。そして、この説明書は付属品の扱いが結構雑です。何が入っているかは書かれていますが、いくつ入っているかは書かれていません。なので員数確認のためだけに見るなら見る価値は限りなく低いです。

説明書の付属品に関する項目。

どこにどう使うのか謎なものもあって、ゴム脚が入ってるんですが、数はもちろんの貼り付け位置は書かれてません。極め付けはMBの下に貼り付けると思しき絶縁シート?で、未貼り付けで同梱されているのですが、マニュアルには同梱されている事実すら記載されてません。もちろん補足の紙もないです。「PC自作してんなら見りゃわかんだろ」というの地で行くKOTY的ストロングスタイルな感がありますね。嫌いじゃないですが不親切です。

この絶縁シート?ですが、ネジ穴のクリアランスの余裕が少ない上、全面で両面テープなのでミスると貼り直しは難しいです。そのため雑に貼ると泣きを見ます。私は下記の写真のようにして養生テープで取っ手を作って慎重に貼りました。

SST-ML10の絶縁シート貼り

まぁ、このシート、貼る意義も必要性も特に感じないですが、貼るならフロントパネルも外してからやった方がが無難です。このフロントパネルなんですが、底面のネジだけNo.1のドライバが必要です。これもあんまりセンス感じない造りですね。

ここのネジだけNo.1です。外さないとフロントパネルが外せません。

ケースはケンジントンロック用のホールが付いてて、Kensington純正品かシリンダー付きの互換品なら一応ケースが開かないようになると思います。ロックバーでフタと本体を貫通させてくくりつけてるわけではなく、単にロックのシリンダーの円筒部分でトップカバーのスライドを妨害してるだけの構造です。よってケチくさい会社や事務所が買うようなやっすい互換品だと効果無さそうですね。

ファン

ファンは10mm厚の50mm角のファンが3つと、120mm/140mmのファンが1つ付けられます。120 mmか140mmかは排他ですが、これと50mmは別に排他ではないので両方とも付けられます。50mm側外側から内側に向けて皿穴があいてます。ただ、ケース自体にはファンもネジの付属もありません。「ファンをつけたければ全部自分でご用意しな。」というスタンスです。

この50mmというのは結構曲者で、国内においてそこら辺で変える50mmファンを出してるマトモな正規流通はアイネックス社のものだけです。アイネックス社の大口径ファンはラインナップも品質もやる気のを感じませんが、小口径のラインナップは神そのものですね。通販だとモノタロウでRS Pro(中はどうもOrionFanっぽい)も買えます。

ちなみに、大御所のNoctuaや山洋は何故か50mm自体のラインナップがありません。よってPWM対応が欲しい場合はDigikey漁ると出てきます。やはり種類少ないですが、Wakefield-Vette社のDC0501012シリーズが適合すると思います。ただ、自作向けとして取り扱っているわけではないので、データシート見てどれ買えばいいのかよくわからないのであれば、素直に120mm/140mm積むかアイネックスあたりで手を打つのが無難です。私はファンレスにしたいので買いませんでした。

Elevatedにすれば2.5インチSSDをつけてても120mm/140mm口径の25mm厚のファンが入りそうですが、実はNon-ElevatedからElevatedの蓋に交換して増える高さ(外寸)は実測で23mmしかありません。なので、2.5インチSSDと25mm厚のファンを入れると干渉すると思います。

電源部

電源はACアダプタを使用する想定で、既製品が使えるように考慮されていると思います。一応専用の純正品が販売されていますが、PicoPSUや2000年代前半のITXケースによくあった電源基板も使えるようになってます。壊れてもどうにか出来るあたりはこのケースの好感が持てる部分です。

DCジャック用のホールはPicoPSU純正ののバレル型DCジャックが入ります。PicoPSUの純正バレルジャック部分はM8ネジですので、PicoPSU以外でもM8に近い構造なら入るとは思います。ケース側はネジの切ってない単なるバカ穴です。尼のレビューにもあるんですが、位置的にはファンに干渉するのでファンガード(グリル)必須ですね。付ける余裕あるのか知りませんが。いまいちな部分ですがここは仕方ない要素があるかなぁって感じです。

Morex(≠Molex)のケースに採用されていたCUI PJ-039AHのようなパネル取り付けのバレル型DCジャック(※)も寸法的には合ってるので付けられると思います。ただ、Power DINは無理だと思います。というかMini DINのPower DINでも無理だと思います。

※(免責)Morex Cubid 26xx/27xnシリーズのバレルジャックはCUI PJ-039AHと見た感じは同一形状ですし代替品として嵌りますし、実際私も代替品として使っています。ただ、このシリーズがCUI PJ-039AHを実際に使っているのか、単に互換性があるだけのパーツなのかは不明です。ちなみに末尾AHは内径2.5mm、末尾BHは内径が2.1mmです。

電源基板部

SST-ML10Bにある電源寸法
https://www.silverstonetek.com/upload/downloads/Manual/case/Multi-MILO10-Manual-V2.pdf P.9より引用
AD120-DCの電源寸法
https://www.silverstonetek.com/upload/sstedm/ad120-dc/AD120-DC-Product_Sheet-JP.pdf より引用
Morex Cubid用に作ったPicoPSU用変換基板

画像一番上がSST-ML10Bに適合する電源基板、真ん中がこのSST-ML10B用に設計・販売されている純正電源、下が私が昔、古いMorex Cubidシリーズ用に設計・製造したPicoPSU用の変換基板です。基板サイズ、ネジ位置はほぼ同じなので、Morexなどの古いものをそのまま使うこともできるはずですし、逆にAD120-DCをMorexなどのケースに使い回すこともできると思います。

ただ、マザーボードとのクリアランスは広くなく、フロントパネル部分はUSBやボタン、LEDなどのパーツがあるので、これらのパーツ、あるいはマザーボードと電源基板上のパーツが干渉しないかは現物合わせが必要です。

今回はマザーボードに電源アダプタを直結するタイプのマザーボードなので使いませんが、更改時には役にたってくれると思います。

総評

叩いている部分もありますが、どうにかなる部分がほとんどで、総じて言うと好感の持てるケースです。わかる人には高いポテンシャルを感じられるケースです。

ただ、マニアックな口径のファン、員数・取付位置が不明なパーツ、存在意義の謎なパーツ類など、わかる人向けに作られてる感は否めません。そういう点ではパワーユーザー向けだと思います。

USB Type-C Dock(非Thunderbolt/PD/GbE/USB3.xポート/4k60Hz)の勘所

先月36号機(モバイルノート)を買ったんですが、USB Type CがThunderbolt非対応だったので、非ThunderboltのType C Dockを2メーカほど買って試していました。なんとなく選び方の勘所がわかった気がするので書きたいと思います。

私の要件はこんな感じです。

  1. HDMIで4K 60Hzで表示できること。
  2. Gigabit Ethernet(GbE)が搭載されていて1Gbps(実効950Mbps)が出ること。
  3. USB3.0が搭載されててその速度が出ること。
  4. DockでPDで受電して、PCに送電できること。

上記の1〜3要件を満たすDockを買うのに、書かれている、または外観上必要があるのは下記のI〜IIIです。

  • I. 4K 60Hz対応が明記されている。
  • II. PC側でのType C + Display Port(以下、DP)1.4対応が必須と書かれている。
  • III. USB3.0以上の端子が搭載されている。

当然ですが出力する側のPCが4k 60Hz、DP 1.4以上(1.3でもOK、1.2はNG)に対応していることや、モニタがHDMI2.0/4k 60Hzに対応していること、LANが1Gbpsでリンク可能などの周辺機器が対応OKなのが前提です。

理由は後述しますが、私と同じ要件のDockを購入される予定なら上記のI~IIIはすべて対応しているのが重要です。

1番目の4k 60Hzの要件ですが、4k 30Hzしか対応してないDockは値段に関わらず普通にあります。しかも、この記事書いている時点では4k 60Hz対応より値段の高い4k 30Hz迄対応のType-C Dockも普通に売ってます。

そのため「4K対応」とだけ書いてあって、肝心の対応周波数書いていないType-C Dockは、4k 60Hzが必須なら買わない方が無難です。

4番目の要件のPDの部分は、PD対応書いてあればまず大丈夫です。ただ、PD受電用のType-CポートがPD専用か、それともUSBポートとしての機能もあるかはDockの機種次第です。

PDは2つトラップがあって「DockにType CがついてるけどPD受電不可」と、「PCからの受電では動作しない(PD挿して外部給電しないととまともに動かない)」という罠がある製品もあります。

DellのDA-300なんかは前者です。1万円近くしたのになかなかのクソ仕様です。後継のDA-310はPD受電できるらしいですが。ちなみに、このDA-300を36号機(hp)に繋いだら普通に画面出ませんでした

あと、PD受電そのものが付いていないDockもあります。購入前によく確認が必要です。


さて、Type-C Dockのモニタ出力部分はほぼ全ての機種がDPをHDMIに変換しています。つまりUSB Type-C の Alternate modeを使って映像データをDisplay Portで送信しています。

これはDisplay port Alternate modeという仕組みを使用しています。

HDMI Alternate mode自体はある(Impress PC Watch)ようですが、HDMIは必要な芯線数(差動ペア数)多いですし1.4までしか対応していないようで、DP変換でいけるならDP変換で良くね?って感じはしますね。対応が遅れたのが普及していない理由とも言われますが、先に出ててもDPに抜かされたと思います。

ナントカ Alternate modeというのはホスト側とデバイス側が交渉(Negotiation)して、お互い合意が取れたら通常はUSB3.xに使用する信号線の一部に、USB信号以外のデータを流してしまおうという規格です。

Thunderbolt(以下、TB)やDPをUSB Type-Cで接続できるのはこの規格があるからです。それぞれ、Thunderbolt Alternate modeやDisplay Port alternate modeなどと呼ばれます。まぁ、PCでは事実上ThunderboltとDisplay PortのAlternate modeの2規格しかありませんが。

Alternate modeには両端USB Type C〜USB Type CのUSBケーブルが必要で、Type Cコネクタのピンの全結線が必要です。つまり両端がType CでもUSB2.0までしか対応しないケーブルや、USB3.2対応でも片端がType C以外のケーブルはAlternate modeには対応しません。Type A〜Type CケーブルのType A部分をType C変換してもAlternate modeでは動作しません。。

これはUSB2.0のType C〜Type Cケーブルや、片端がType C以外のケーブルにはAlternate modeで高速伝送可能な信号線が無いか、充分に入ってないからですね。

USB Power Delivery(PD)も両端Type Cが必須ですが、PDはAlternate modeとは別枠ですのでPD単体ならUSB2.0のType C〜Type CでもOKです。ただ、Type A〜Type Cのコネクタ形状を変換して無理やりUSB Type C〜USB Type Cにしてもダメです。

両端がネイティブでType C対応が必要なのはAlternate modeもPDも同じです。PDは高速伝送可能なペアは必要ありませんが、Type AやType Bなどの端子はPDに必要なCC1/CC2端子が無いから変換ではダメなんですね。


Fig01. USB Type C Receptacle ピンアサイン

さて、そのなんちゃらAlternate modeではUSB Type-Cが必須ですが、そのUSB Type-Cのピンアサインはフル結線だとFig01のようになっていて、USB以外の通信に転用できるのは5対10線、高速4レーン+低速1レーンの合計5レーンです(※1)。

  • (高速用)A2/A3 TX1 (TXp1/TXn1)
  • (高速用)B10/B11 RX1 (RXn1/RXp1)
  • (高速用)A10/A11 TX2 (TXn2/TXp2)
  • (高速用)B2/B3 RX2 (RXp2/RXn2)
  • (低速用)A8/B8 SBU1/SBU2

※この記事でいう1レーンは差動ペア1つのことを指します。PCIeやUSBで言う1レーンは差動ペア2つ(TX1/RX1の1セット)で1レーンと呼びますが、DPは差動ペア1つを1レーンと呼んでるっぽいです。ここでは特記がない限りDP側に併せて差動ペア1つを1レーンと呼ぶことにします。

A2とかB2というはUSB Type Cの端子番号です。高速用・高速レーンとは数Gbps以上の高速なデータ転送レートに対応します。TXnとかRXnはSSTXnとかSSRXn(n=1,2、SSはSuper Speedの略)とも表記されます。ちなみにAlternate modeではRXの差動対でデータを送ったりと元の端子のデータ送受信の方向に関係なく使えます。

要件の2と3にある「Gigabit Ethernet(GbE)が搭載されていて1Gbps(実効950Mbps)が出ること。」と「USB3.0が搭載されててその速度が出ること。」は実は同じ内容で、Type C Dockで1Gbps以上出すには内部的にはUSB3.0以上(〜USB3 Gen2x1、以下USB3.x)で接続されている必要があります。GbEがUSB2.0接続されていると1Gbpsなんて出ませんからね。

Fig02. 内部的な接続(USB Tree Viewで表示)

Fig2.はちゃんと1Gbps出るEthernetポートを積んだDockで、上記のようにType-C Dockの内部にはUSB3.xハブのコントローラ(Fig02では汎用Super Speed USBハブ)があって、配下のPort4にGigabit Ethernetがぶら下がってます。ちゃんとSuper Speedでリンクされてるいるのがわかります。ちなみに、このDockはSD/MicroSDのカードリーダがついていてPort1にマウントされています。

Dockに普通のUSB3.xのType Aポートもある場合、そのポートもその内部のUSB3ハブにぶら下がっています。Fig02のDockの場合、Port2とPort3がそれです。ちなみに機種によってはPD受電のType CコネクタもこのUSB3.xハブにぶら下がっていたりしますがこのDockにはありません。

このようにDockがUSB3.xのハブの機能を持つにはType Cの4+1レーンからUSB3.xに必要な通信線割り当てないといけません。USB3.xはx1規格の場合(つまりUSB3.2 Gen 1×2とかUSB3.2 Gen2x2ではない場合)、高速レーン(高速用の差動ペア)が2レーン必要(※1)です。
つまり、TX1/RX1/TX2/RX2の高速4レーンのうち高速2レーンをUSB3.0通信に割り当てる必要があります。ちなみにUSB2.0部分はAlternateでは通常転用できない(※2)のと、Alternate云々に関係なくあるので考慮から除外します。

※1: 繰り返しですが、実際はUSB規格ではこの作動ペア2レーンのことを1レーンと呼びます。USB3.2 Gen2x2のx2というのはこの差動ペア4レーン全部(USB規格上は2レーンと呼称)を使って実現しています。
※2: 半分嘘で、一部のスマホなどで使われているらしいAudio Alternate modeではUSB2.0のポートを転用しています。もちろんUSBの機能は失われます。ただ、PCでは(Alternateで頑張らなくてもUSB2.0部分にUSB Audio繋げばいいだけなので)使ってないと思います。

Fig03. USB3.xにTX1, RX1を割り当てた場合のピンアサイン

ここではUSB3.xに左側のTX1/RX1(SSRX1, SSTX1)を割り当てたと仮定すると、残ったレーンは下記の3レーンです。つまり映像信号は高速2レーンと低速1レーンの合わせて3レーン以下で送らないといけません。

  • (高速用)A10/A11 TX2
  • (高速用)B2/B3 RX2
  • (低速用)A8/B8 SBU1/2

先ほど、Type C DockのHDMIはDPからの変換と言いました。DPはHDCPなどの映像本体以外の信号のやりとり用として映像転送とは別に信号線が1レーン分必要です。DPではAUX+/AUX-というピン名でアサインされています。Display port Alternate modeではこれにSBU1/SBU2を割り当てます。

Fig04. DPのAux+/Aux-
Wikipedia Display Portの項より引用。2022.08.28閲覧

残ったType Cのレーンは下記の高速レーンが2つです。

  • (高速用)A10/A11 TX2
  • (高速用)B2/B3 RX2

ところで、4K 60Hz、色深度RGB10bit(計30bit)、HDRがない場合のDisplay Portのデータ転送レートは15.68 [Gbps]です。またDisplay Portの1レーンあたりの速度はDisplay Portのバージョンによって異なっており、Wikipediaでは下記の通りとなっています。

Fig05. Display Portの転送速度
Wikipedia Display Portの項より引用。2022.08.28閲覧

DP自体は最大4レーンですので、4k 60Hzに必要な15.68 [Gbps]をType Cで実現するには下記のどちらかで実現する必要があります。
I. DP1.2で4レーン(5.4Gbps x 4レーン)
II. DP1.3 or DP1.4以上で2レーン(8.1Gbps x 2レーン)
※この記事書いた時点ではDisplay Alternate modeで対応するのはDP1.4までです。またUSB4は除きます。

Fig.06 – IのDisplay Port 1.2で4レーン使う場合のピンアサイン例
VESA – DisplayPort(TM) Alternate Mode on USB-C(R) P.23, USB.org, 2022.08.28閲覧
Fig.07 – IIのDisplay Port 1.4で2レーン使う場合(典型的なUSB3.x/HDMI搭載のDock例)
VESA – DisplayPort(TM) Alternate Mode on USB-C(R) P.22, USB.org, 2022.08.28閲覧

私の要件満たすType C Dockの場合、結論としてはIIです。

Fig.07を見るとType Cの高速4レーンのうち、2レーンをすでにUSB3.xに使われています。残った高速2レーンで4k 60Hzに必要な15.68 [Gbps]を出そうとしたらDP1.3 or DP1.4(8.1 [Gbps] per Lane)が必須です。DP1.2(5.4 [Gbps] per lane)だと2レーンでは10.8Gbpsしか出ないので4k 60Hzを出すには帯域が不足です。

まぁ、そもそもUSBポートを持ってるType C Dockで4k 60Hzを出すには、現状、下記の2通りしかやり方がありません。

  1. Display Port 1.2で、USBポートを非実装か実装してもUSB2.0にして、高速4レーンを全部DPに回す(USB3.0は妥協する)。→Fig06のパターン
  2. Display Port 1.4で、高速4レーンのうち2レーンだけをDisplay Port Alternate modeに回して、残った高速2レーンをUSB3.0に回す。→Fig07のパターン

DP 1.2でも4k 60Hzの出力は可能です。ただ、DP1.2で4k 60Hzを出力しようとすると、高速レーンを4レーン全部使わないと帯域が足りません。そのためType C DockでPC本体側、もしくはType C Dock側のいずれかがDP1.2にしか対応しない場合、Dock側の(Thunderboltがない限りは)USBポートは2.0にしかなりません

DP1.2までしかDockが対応していないのに、Dockが「USB3.xが絶対必要!」とネゴシエーションで譲らないなら、映像に関してはDP1.2 x2レーンで接続されます。

DP1.2 x2レーンの最大解像度は4kだと30Hz迄なので、必然的にDockの4k 30Hzまでの対応になります。4k 30Hzは7.73 [Gbps]なので、4k 30HzまでであればDisplay Port 1.2でも高速2レーン(10.8 [Gbps])で伝送可能です。


別の見方をするとUSB3.0ポートがあるのに4k60Hz対応と謳われていなかったり、DP1.4が必要と書かれていない場合は、書き忘れで無ければ下記の可能性があります。

A. 4k 30Hzまでしか対応してない。
B. 4k 60HzにするとUSBが2.0になる。
C. ポートの見た目はUSB3.0だが、内部結線はUSB2.0(詐欺)
D. ちゃんとDP1.4で4k 60Hzに対応しているが、Thunderbolt以外での使用を考えていない。

Cの詐欺パターンで無ければ、4k 60Hz非対応として流通してるType-C DockはAがほとんどだと思います。

AとBはDisplay Port 1.2までしか対応していないパターンですね。

Aは、4k 30Hzまでであれば前述の様にDisplay Port 1.2でも高速2レーンで伝送できるので、4k 30HzとUSB3.0で同時成立させてるパターンです。この記事書いている時点ではこのパターンの製品が多いです。

BはDPでType Cの高速レーン使い切ってて、USB3.xに高速レーンを振る気が無いか、割り振れないパターンですね。ヨドなどの国内市販品でBのパターンは私が調べた限りではありませんでした。

ただ、どことは言いませんが、4k 60Hz対応と書かれてるのに、中のDP/HDMI変換チップのチップ名が書かれてて、そのチップベンダのページ見るとがDP1.2まで対応という中華のType C Dock製品を尼で見たことあります。買ったわけでは無いので動作の真偽の程は謎ですが注意が必要です。

ちなみにDockではなく単なるType-C〜HDMI変換の場合、USBポートがそもそも不要なのでDP1.2で4k 60HzをFig06のパターンで実現している製品も多分にあると思います。

ThunderboltはThudnerboltというプロトコル(実際はPCI Express)でDPもUSBもペイロードとして送受信して、それをPC側やデバイス側で解きます。Thuderbolt自体は4+1レーン全部使い切りますが、あくまでThunderbolt通信であって、DPやUSB3.xはそのThunderbolt通信の上に乗るようなになるのでDPとUSB3.xは併存可能です(※)。

※この説明はThunderbolt対応のUSB Type CにThunderbolt対応機器を接続して、Thuderbolt modeで使う場合の説明です。

Windows Updateで降ってくるIntel Display Driver 27.20.100.9415(2022/07/11)は動作が怪しい。

8月度のWindows Update(以下、WUD)に混じって降ってきた「Intel Corporation – Display – 27.20.100.9415」ですが23号機のIntel UHD Graphics 750では動作が怪しいです(クラッシュしてる)。
※正確には8月度のWUDではなく私の場合は2022.08.07に降ってきてます。

先日のIntel MEの件は、WUDで降ってくるIntel MEより新しいバージョンを当ててやると、WUDで降ってくるバージョンを無視して新しいするようですが、このIntel UHD Graphics 750に関しては後から入れられた方を優先するようです。

Fig1. より新しい31.0.101.3222を入れているのにWindows Updateでは古いバージョンが落ちてくる。
Fig2. Windows Updateが終わると古いバージョンが使われてしまう。

画面は構成が似てて使用するドライバも同じ35号機のIntel UHD Graphics 730ものです。Fig1.のようにこのアップデートより前に最新の31.0.101.3222(Intel)を入れてあったのですが、Windows Updateでは古いバージョン(27.20.100.9415)が降ってきてましたし、Fig2のようにWUD当てたら普通に古いのが使われました。

Fig2のようにでWUDで古いドライバが有効化されても、古いドライバ自体はプリザーブされてますので、もしより新しいドライバを入れてるのであれば、上のFig2.の「ドライバを元に戻す」を選択するとFig3のような「ドライバー パッケージを戻す」の画面が出てくるので、理由を適当に選べば戻せます。

Fig3. ドライバを戻す画面

上のFig2.の「ドライバを元に戻す」のボタンがグレーアウトで押せない場合、面倒ですがIntelの公式ドライバで一度上書きしてから、一旦WUDを受け入れた上で、上記ステップでdevmgmt.msc (デバイスマネージャ)上から「ドライバを元に戻す」で元に戻してください。

Windowsのドライバはたまにハズレドライバが落ちてくるので、安定重視ならGPOで禁止してもいいと思います。ただ、ドライバも脆弱性が出ることがあるので、更新しないのが最善かと言われると微妙なところです。

2022年07月度のWindows Updateに含まれるIntel MEはRocket Lake上での動作が怪しい

Windows Updateは8月度が出ていますが、7月度の問題が解消できたのでようやくメインマシンに入れることができました。

Yuaihoは23号機(Z590+Rocket Lake)をメインに使っているのですが、2022年07月に含まれるWindows Updateをを当てたらBSoDが頻発するようになりました。

怪しそうなのを探してみると7月度のWindows Updateに含まれる「Intel – Software Component – 2130.1.15.0」を入れたせいっぽいです。Yuaihoの環境では、ですが。

「Intel – Software Component – 2130.1.15.0」の中身はSkylake以降用のIntel Management Engine(Intel)のようです。

Windows10はパッチを選り好みして入れる方法が事実上ないので(Blacklist化は出来るが面倒なので)、より新しいドライバを入れてからWindows Updateを当てると「Intel – Software Component – 2130.1.15.0」自体はインストールされるもののドライバ自体は新しい方を利用するようです。

Fig1. devmgmt.msc(デバイスマネージャ)

ドライバのバージョンは「devmgmt.msc」の「システム デバイス」の「Intel(R) Management Engine Interface #1」の「ドライバ」タブで確認できます。

Fig2. Intel(R) Management Engine Interface #1のプロパティ

なんかIntelのWebサイトのものと若干違う気がしますが、2130.1.15.0ではないっぽいので細けぇこたぁいいんだよってことで気にしないことにしました。一応、この方法でIntel Managementを更新したら、安定して動作するようになりました。

ちなみに、Fig.2の「ドライバーの更新」で強制的に別のバージョンを使用させることもできるようです。ただ、ネットの記事を読んだだけで試したことがないので本当にできるかは知りません。